世界の競技人口は2億人以上

このeスポーツを、どのくらいの人が楽しんでいるのだろうか。平成30年度の文部科学省の事業として国際研修交流協会がまとめた「eスポーツ分野における先端技術活用型チームマネジメント人材養成事業」成果報告書によれば、国内のeスポーツ競技人口は約390万人、eスポーツを見て楽しむオーディエンスは約160万人と推定されている。さらに世界の競技人口は約2億人以上という。錦織選手や大坂選手の活躍で日本でも人気の高まってきたテニスの競技人口が日本で約400万人、世界では約1億1000万人だから、その世界的な広まりがわかっていただけるだろう。

また、eスポーツの優れている点は、プレーヤーに関してフィジカルな制約が少ないことだ。だから身体に障害のある人たちも、自分にあった補助器具を使うことで、健常者と対等に戦うことができる。大会の多くは、性別や年齢による区分もない。

eスポーツ人気を裏づけるように、特に海外では大会の規模が急速に拡大している。2019年に開かれた「フォートナイト」というゲームの大会では、日本円にして賞金総額約33億6300万円、1位賞金3億2500万円という大会も開かれた。各地の大会の賞金を積み上げた年間の賞金総額では、2019年の「ドータ2」がなんと、233億円である。観客動員では、「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会決勝戦で6万人、インターネットで配信された決勝戦の視聴者が2億人というからすさまじい。ちなみに2008年の北京オリンピック開閉会式の観客が6万人である。

提供=メリープ
ARスポーツ「HADO」対戦風景

日本のeスポーツはいまだ発展途上

eスポーツ先進国はアメリカや韓国、そして中国である。それに比べて、日本はかなり出遅れているといわざるを得ない。「任天堂やソニー、セガを擁するゲーム大国日本でなぜ?」と思われるかもしれない。

eスポーツは、コンピューターを相手に戦うのではなく、電子ゲームを舞台に、複数のプレーヤーが対戦するものをいう。あくまで、人と人とが戦うのがeスポーツなのだ。1対1の個人戦もあれば、5対5の団体戦もあり、中には100人が一度に参加できる競技もある。

一方、日本では家庭用のゲーム機があまりに普及してしまったため、主にパソコンなどを使って対戦するeスポーツは出遅れてしまったのだ。加えて日本では、専用の光ファイバーを使った光回線が普及する前に、従来の電話回線を利用するISDNをはさんだため、インターネットの回線速度が他国と比べて遅かったのも理由のひとつにあげられている。

さらに日本では、景品表示法や刑法の賭博罪との関係で、eスポーツの大会に多額の賞金を出せない恐れがあったり、風俗営業法でeスポーツ特化型ネットカフェの営業時間が規制されたりすることも、日本でeスポーツが出遅れた要因といわれている。

これに対してお隣の韓国は、世界大会上位の常連であり、eスポーツ大国と呼ばれる。その歴史的背景としては、1990年代後半の世界同時不況で韓国が通貨危機に直面した際、国策としてネット事業に力を入れたことがあげられる。仕事のない若者がネットカフェに集まり、オンラインゲームに熱中するようになった。やがてeスポーツの人気は拡大し、ソウル市内にはeスポーツ専用の競技場もオープンするなど、いまや韓国を代表する文化のひとつともなっている。