「配信で一番稼げる」とIOCも重要視

近年、日本でもeスポーツの話題が増えてくるようになった。そのひとつのきっかけがオリンピックである。

すでに「アジア・オリンピック評議会」が主催するアジア版のオリンピック、「アジア競技大会」の2018年ジャカルタ大会では、公開競技としてeスポーツが行われた。そのサッカーゲーム部門では、日本チームが優勝している。また2022年に中国の杭州で行われる予定の大会では、正式種目になることが決まっている。

IOC(国際オリンピック委員会)もeスポーツに関心を示している。トーマス・バッハ会長は「eスポーツ産業の成長は無視できないし、若い世代に魅力もある。五輪に入れるかどうか話をするのは時期尚早だが、対話のドアは開けたままにしておく」(2018年12月4日付け共同通信)と述べている。

こうした状況を踏まえて筧は、「2024年のパリ大会では、公開競技か併設競技のような形で行われるのではないか。そして28年のロサンゼルス大会での正式種目は、ほぼ確定だと思っています」と展望する。その理由として筧はスポンサーの意向、そして人気の高い映像配信をあげる。「オリンピックのトップスポンサーは12社。そのうちアリババ、サムスン、インテルの3社はeスポーツ関連企業なのです。もうひとつ、国際オリンピック委員会が、テレビの次に重視しているのがインターネットの配信です。いままでテレビに頼っていた放映権料が、インターネットの配信に代わる時代が来る。そうしたとき、配信で一番稼げるのは何かというと、eスポーツなのです」

5Gでeスポーツに変革が起きる

eスポーツに対する期待が高まる背景のひとつに、次世代移動通信システムの5Gがある。5G時代で、医療やモビリティなどの利便性向上が期待されるが、「中でも一番相性がいいのがeスポーツ」と、筧は断言する。「医療は患者と医師の1対1の関係です。一方eスポーツでは、一度に100人が同時接続するゲームもある。スマートフォンで大人数のゲームが可能となる。速度面でいえば、北海道と沖縄の距離でも、0.1秒を争うトッププレーヤーにとっては遅延が起きる。これが5Gになると、理論値的には、東京から中国の奥地くらいまで大丈夫です。トッププレーヤーの場合、5Gでもっとすごいプレーが見られるようになります」