警備業界は人手不足が深刻だ。それを解消する手段として、「警備ロボット」の導入が注目されている。すでに成田国際空港や東京大手町の超高層ビルなどでは、東京のシークセンスが開発した警備ロボット「SQ-2」を導入している。価格は月額30万円。なぜ人ではなく、ロボット警備が必要なのか――。

※本稿は、中村尚樹『最前線で働く人に聞く日本一わかりやすい5G』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

成田国際空港第3ターミナル内を巡回警備するSQ-2
提供=成田国際空港
成田国際空港第3ターミナル内を巡回警備するSQ-2

スター・ウォーズの人気ロボットを連想する近未来感

日本では2020年から5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが始まった。5Gは“5th Generation”、第5世代の略だ。5Gは産業界での利用が特に期待されているが、警備業界で始まった新たな試みから、将来の日本社会で定着する可能性を探りたい。

アメリカのSF映画「スター・ウォーズ」に登場する人気ロボット「R2-D2」を、すぐに連想した。しかし、ずっとスリムで、小型ロケットのような形をしている。フロアを自在に動きまわる姿に、近未来的な機能美が感じられる。

東京のシークセンスが開発した警備ロボット「SQ-2」に、私が対面したときの第一印象だ。高さは130センチで、小学校高学年の子どもくらい。本体の上部に、冠のように取りつけられた3個のレーザースキャナーが常にくるくると水平方向に回転することで三次元マッピングを行い、周囲の状況をリアルタイムで立体的に把握する。GPSを利用できない商業施設やオフィスビルなどの屋内を、スムーズに動き回ることができる。超音波センサーと組み合わせることで、夜間でも障害物を感知し、人や移動する物体を上手によけることが可能だ。

SQ-2が担う主な役割は、巡回と立哨警備である。ボディ前方に高解像度カメラを搭載しているほか、3方向につけられた魚眼レンズで常時360度の撮影が可能だ。施設内を回って不審なものがないかどうか、消火器や消火栓、非常口やゴミ箱などの設備に異常がないかどうか、映像やセンサーで把握する。サーモセンサーが、肉眼ではわからない異常な熱源を感知し、火災対策にも役に立つ。