デルタ株が猛威を振るう現状が示すように、ウイルスは急速に感染力を増している。2回の接種で本当に大丈夫なのだろうか。

「アメリカにおいて約1億5千700万人いるワクチン接種者の中で、再感染した人は約5700人。100万人あたり、33人程度です。ごく軽微なものや無症状者を合わせるともう少しいるとは思いますが、(100万人あたり)1000人には至らないはずです。ワクチン接種済みで感染した人の数は、実はそれほど多くないのです。2回接種の時点で十分にワクチンの効果は出ていて、効いていると言えます」(中山医師)

ブースターをめぐっては、アメリカの製薬大手ファイザーが新たな動きを見せている。同社は8日、2回目の接種から半年後に3回目の接種を受けることで、抗体レベルが従来の5~10倍に上がるという見解を発表。来月には、規制当局に3回目の追加接種の緊急使用許可を申請する見通しだ。これに対して米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)は共同声明で「現時点ではブースターは必要ない」との見方を示した。

「ワクチンをめぐって意見が分かれるのは当然だとは思います。CDCの中でも、ブースターが不要だと唱える人もいれば、必要だと考える人もいるでしょう。私自身の考えとしては、『備えは必要だが、今すぐには必要ない』という見方を持っています。2回の時点で持っている免疫で、ほとんどの重症化は抑えられると思います」(同)

ただ、今後の状況によってはブースターが必要になる場合もあるという。

「新たな変異株が次々と出てくるようであれば、ブースターが必要になることも考えられます。変異株の発生に備えてブースターを打つための用意は必要だと思いますし、今後のワクチン開発では、その時々の流行株に対応させていく必要があります。また、2回のワクチン接種で1年程度は抗体が持つと思いますが、2~3年が経つと免疫が落ちてくる可能性もあるので、その場合は3回目を打つ必要が出てくると思います」