「知らないうちに貯金が1億円を超える人」は珍しくない
「足るを知る」節約家は、収入が上がっても、あまり出費を増やしません。収入が上がった分はほとんど貯蓄に回るので、資産の増え方がスピードアップしていきます。ですから、ごく普通の会社員でも「知らない間に1億円を超えていた」人が珍しくないのです。スタートは同じでもマインドの違いによって退職するころには大きな差になっているでしょう。
先日家計相談に訪れた方は50代男性で資産1億円を突破していました。勤務先で早期退職を募集しているので応募しようと思うが、「これからの生活は大丈夫か」との相談でした。
コロナ禍の業績不振でリストラを実行する企業も増えていますが、50代はそのターゲットになりやすい年代です。応募しないと嫌がらせを受けるケースもあるようです。それでもしがみつく意味があるのか、と疑問を持つ人も少なくないでしょう。
嫌な仕事にしがみつかなくてもよくなる
自分に嘘をつきながら仕事をつづけるのはストレスにつながります。経済的に心配がないのであれば、会社を辞めるのも一つの選択肢になります。そのときにまとまった貯蓄があれば、選択肢が広がります。
相談に来た方は、共働きで妻も会社員を辞めて自分で事業を始めた経験があったため、会社を辞めることに理解がありました。夫婦仲がよく、プライベートは幸せそのもの。教育費は別途貯めているので心配はありません。仕事だけがストレスと言うのです。
そんなとき、年収1000万円でも浪費家でほとんど貯蓄がなければ、会社にしがみつくしかありません。生活が堅実で金融資産が1億円をこえていて割り増し退職金がもらえるとなれば、辞めて、別の仕事をする選択肢が増えるのです。
日本には創業から400年、500年続いている企業が数多くあります。途中にはさまざまな危機があったはずです。それを乗り越えながら存続してこられた理由の一つは、「調子がいいときでも無駄遣いをしなかった」ことです。経済環境や収入のアップダウンに関わらず、同じ生活が続けられることこそ、長く繁栄を続ける秘訣なのです。これは会社も個人も変わりません。