高齢者に被害が集中した理由

若年者に被害がほとんどなく高齢者が重症化することから、臓器に直接ダメージを与え小児にも被害が大きいインフルエンザとは異なるコロナ特有のメカニズムが考察されるようになりました。その人がもともと持っている慢性炎症が引き金になる可能性が注目されています。

肥満、基礎疾患や喫煙などは、慢性炎症の原因になると同時にコロナが悪化する傾向があります(※4、5、6)。高齢者は持病や古傷を抱えていたり、炎症老化(inflammaging)(※7)という加齢による慢性炎症を抱えたりしています。

慢性炎症はその国の衛生状況や医療体制とも関連します。未治療の疾患を抱える人が多かったり、上下水道が完備されていなかったり、舗装されない道を素足で歩いたりしていれば慢性的に炎症を抱えることになります。私は、衛生環境や医療体制の完備も被害が少ない理由だと思っています。

高齢者接種が完了すれば安全な国になる

このようなデータを踏まえれば、高確率でウイルスにさらされる医療者と重症化しやすい高齢者などからワクチン接種を完了していった政府の方針は極めて正しい判断だったことがわかります。

総務省と厚生労働省によると、高齢者への接種は7月末までに終了できる見通しです。これも地方自治体の皆さんの尽力のたまものです。

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私の患者さんが「母親が施設で寝たきりなんですが、もうワクチンを打っていただきました」とおっしゃっていました。私は「在宅や施設にいらっしゃる方を含めて、要介護者や高齢者から接種完了しているのは効果的で素晴らしい日本ワクチン行政の戦略です」とお伝えしました。

ワクチンについては、希望者に対する職域接種という次の段階に進んでいます。医師会は職域接種に否定的です(※8)が、私たちのクリニックでは企業の依頼に応えて打ち手として協力する連絡をしました。

日本では、被害のない若年者にはワクチン接種は必須ではありません。陽性者が激増しているイギリスでも学童には推奨されていません。「子供が重篤になるリスクはごくわずかであり死亡は非常にまれ。ワクチン接種による利益は期待できない」(※9)とされています。学童に強要してはいけません。

感染のリスクが無いなら必要ありません。リスクとベネフィットのバランスです。50代以下の方も上記のデータから自由な選択で良いでしょう。私は、本人が自由に決めるべきだと思っています。

専門家会議のさまざまな誤謬

繰り返しになりますが、高齢者などのリスクの高い方々にワクチン接種を終えて、日本全体が安全になりつつあります。若年者が感染しても問題にならないので、ワクチンを国民全員が打つ必要は全くありません。

しかし、専門家会議の先生方は「高齢者にワクチン接種が進んでも集団免疫には程遠いだろう」(※10)と耳を疑う見当違いの発言をされました。被害をなくすことがワクチン接種の目的で、集団免疫は必要無いのです。