悩みを抱えたときはひとまず書き出してみる

ヒント3 あれこれ考えるなら、「紙の上」で

ストレスを感じ、イヤな考えが頭の中をぐるぐる回っているときは、紙に書き出すか、スマホのメモ機能に残しましょう。これは、悩みをいったん頭から外に取り出すイメージです。頭のなかだけで考えていると、どうしても不安が不安を呼び、「こうに決まっている、こうに違いない」という思い込みにとらわれてしまいます。

そこで紙に考えを書き出すと、脳の負担が軽くなり、「別の考え方もできるかな?」と冷静に検討する余裕も出てきます。

何をどう書くかは、いくつかのやり方があります。

和田秀樹『ストレスの9割は「脳の錯覚」』(青春新書INTELLIGENCE)

1つには、将来のことが不安なら「これからどんなことが起こりそうか、シナリオを書けるだけぜんぶ書いてみる」というやり方です。例えば、リストラにあい、再就職にも苦労している状況だと「このままでは家計が破綻する」「一生再就職できっこない」といった、極端に悪いシナリオばかりが思い浮かぶかもしれません。

それも全部、書き出してみましょう。良いシナリオも、悪いシナリオも等しく目の前に並べてみるのです。

こうすると、ほかのシナリオとも比較しやすくなり「家計が破綻するというのは言い過ぎかも」「次の面接も決まってるし、できることはたくさん残ってるな」などと、わかります。

彼女からLINEの返信がなく「あいつはおれを見限るにちがいない」「ほかの男と今デートしてるのかも」と心配でならないときも、同じです。

書き出すのは早ければ早いほうがいい

紙に書き出してみれば「さすがに考えすぎ」「彼女も今、忙しい時期だと言ってたし」「夜にまた連絡してみよう」と考える余裕が出てくる。あれもある、これもあると、さまざまな可能性を検討できるようになります。

理想的には、ふだんから「書き出す」習慣があるといいのです。

心配ごとがあり、不安が少し膨らんできた、そういう早めの段階で書き出すと、メタ認知がうまく働きます。裏を返すと、うつ状態になってからでは遅いのです。ネガティブな感情が強すぎたり、本当にうつ病になってからでは、悲観的なことしか書き出せないかもしれません。

ですからこれは、治療ではなく予防と考えましょう。ストレスをそれ以上強くしないため、ストレスがたまりにくくするための習慣です。

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