ジャック・ニクラスが敗者に投げかける「決まり文句」
松山英樹が、一度も付けたことが無かったスイングコーチを生涯で初めて付けたら、10度目の挑戦にして今年のマスターズを制覇したように、「えっ?」「ホントに?」と思うような変化が、迷路から抜け出す突破口になることもある。
答えを見つけ、答えを出し、実践するのは畑岡自身。見守るだけしかできない私たち周囲は、彼女がきっと掴むであろう明るい未来の到来を楽しみに待っていようではないか。
苦しんだ分だけ、喜びは増すはず。耐えた分だけ、楽しさは長く続くはずだ。
「(今は)悔しい気持ちのほうが大きいですけど、これからも試合は続くので、しっかり調整していきたい。まだ全米女子プロもありますし、まだたくさん試合は続く。次こそは、勝てるように頑張りたい」
そう、次こそは畑岡の番だ。そして、次を獲れば、その次も、そのまた次も、きっとあなたの番がやってくる。
ゴルフ界の「帝王」ジャック・ニクラスには、毎年、自身が大会ホストを務める大会で敗者に投げかける決まり文句がある。
「私は優勝した回数より、2位になった回数のほうが、はるかに多いんだ」
ニクラスの言葉が畑岡の耳に届いてくれたら――。彼女の胸に響いてくれたら――。
そんな願いを込めて、この記事を書いた。