ライブコマースを管理する法律が施行されたが…
ほかにも「フォロワー数などを買って水増し」「サクラを使って取引額を水増し」「有名人が出演と称してそっくりさんを出演」「配信中に内紛が起きる茶番劇の台本・ブックがECサイトで販売」「中国人俳優が扮したニセ日本人が、ニセの日本製鉄鍋を日本人が聞き取れない日本語で販売」と、カオスな状況になっている。
そんなニュースばかりなのでライブコマースの信用そのものがなくなり、ライブコマースはリアルショップ同様「だいたいなんだか胡散臭い市場」と化したのである。
そんななか、中国政府は昨年の11月23日にライブコマースに関する新ガイドラインを発表し、出演者の実名義務化やいわゆる“投げ銭”の規制など、業界全体に対する規制をはじめた。
また、5月25日には「国家ライブコマース管理弁法」を施行し、規制を強化していく方針を打ち出している。
「国家ライブコマース管理弁法」は「ライバーやMCNは16歳以上で、ニセモノの販売・評価の水増し・消費者に誤解を与える情報の配信など不正行為をしてはいけない。プラットフォームについては生放送のブロック、アカウントの閉鎖、ブラックリストへの登録、法規制違反に対する共同懲戒処分などの措置を講じることを要求する」という内容で、プラットフォームに対する罰則も含まれている。
とはいえ、規制強化が発表されたいまも状況は変わっていない。冒頭の通り、日本の文字をまぶした怪しげなニセモノや、著作権無視のゲームハードなどが売られ、ライバー本人は知ってか知らずかニセの日本製鍋を片手に堂々と「日本製」を訴えている。
要は、規制前のカオスな状況とまったく変わっていないのだ。権利者がしかるべき手段で抗議するか、消費者が大きなうねりとなって抗議運動にでも発展しない限りこうした商品が取り締まられることはないだろう。
今後もニセモノ販売はなくならない
結局、ライブコマースに合わせた新規制は、これまでのECのルールを無法地帯だったライブコマースにも適応させたものだ。そして規制を出したところで、売られるものはリアル同様変わらずところどころ胡散臭い。
今後考えられる規制の影響としては、水増しなど一部の不正が改善される程度だろう。規制によって名もなきMCNや配信者は生き残りが難しくなったわけだが、日本企業の訴えが届かない中国でニセ日本製品を売る状況は変わらない。
今後も、MCNやインフルエンサーによるニセモノ販売はなくなることはないだろう。