疲労回復には緑色を、でも組み合わせに注意
そして最も簡単に室内にオンとオフを生み出せるのが「色」。色彩専門家で住環境、製品のカラーコンサルティングを行う南涼子氏(日本ユニバーサルカラー協会代表理事)は「室内にはとにかく色を取り入れること」と話す。
「色は大脳で認識され、感情の中枢である『扁桃体』やホルモン分泌を促す『視床下部』を刺激し、心身に強く影響を与えるんです。白が多い、言い換えると“色がない”環境は、心身への刺激が少なく、やがては無気力や無感動になる可能性があります。仕事でも創造性にマイナスとなりやすいですね」
色は視覚だけでなく皮膚でも感じられる。たとえ目隠しをしていたとしても、皮膚は色光に反応して筋肉を緊張させたり緩めたりしているという。
「人は気分がいい時に好ましく感じる色と、調子の悪い時に好む色は異なる傾向にあります。例えば黄色は希望に満ちた心境の時、茶色は安定を求める時、紫は強いストレスを感じる時に選びやすい。ですが無意識ではなく、目的に合わせて意識的に色を選ぶと、悩んでいる心身を改善できる可能性があります」(南氏)
色は「心身をギアチェンジするシフトレバー」と、南氏は言う。
白は陰りができてむしろ室内が暗くなってしまう
体調に応じてカーテンやベッド・ソファカバー、テーブルクロスをはじめ、仕事用の机やデスクマット、椅子、パソコン画面などの色を変えてみよう。
4月や5月は異動や転勤、引っ越しなどで環境に変化がある人も多いと思うが、疲労を感じるなら「緑色」を。
「緑は自然に目のピントが合い、見るのに余分な力を必要としないため筋肉を弛緩させます。緊張を解きほぐして精神安定や疲労回復にも役立つ、健康効果として優れた色ですね」(同)
仕事の合間に観葉植物を見るだけでも癒やされるという報告もあるから、「部屋に植物を置く」という色の使い方も楽しい。
日当たりが悪いなど、室内が“暗いイメージ”の時は、「黄色」がお勧め。
「光の反射率が高いのは白ですが、白は陰りができてむしろ室内が暗くなってしまうんです。黄色は太陽光を象徴し、心理的にも物理的にも“外に広がる”イメージ。自由でユニークな発想をもたらし、気分をポジティブにします。うつ病の改善にも役立つという報告があるのです」(同)