「今すぐ副業・独立」だけが選択肢ではない

会社に勤務して中堅レベルを超えたビジネスパーソンから、よくこんな声を聞きます。

●目の前の仕事はそれなりにこなせている
●「個の時代」という言葉を聞くようになったが、すぐ会社を辞めて独立したいわけではない。組織にいるほうが肌に合うかもしれない
●自由を謳歌しているインフルエンサーの言葉は、どこかで、「自分とは違う感」がある
●現状のままで組織に居続けるのは不安。視野が狭まりそうな気がしている
●個人として世界を広げなければという漠然とした危機感はある
●得意分野がはっきりしていて、いろいろなところから声がかかる人がうらやましい
●今までやってきたことに誇りはあるが、いざ組織を離れたときに、自分がどこでどんなふうに勝負できるかが見えていない
●副業解禁などで、機会は広がったように思うが、具体的にどう動いたらいいかよくわからない

高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)

特に最近は、「副業」「複業」「フリーランス」といったキーワードも目にとまるようになりました。一方で、「今すぐに副業を始めよう」「個人事業主になる準備をしよう」という方はどのぐらいいるのでしょうか。

今の会社や仕事が好きだという方もいるでしょうし、本業に集中することがキャリアアップにつながる方も多いはずです。「目の前の仕事」への優先順位をいきなり下げることが、必ず人生をハッピーにするわけではありません。仕事は、成果をあげ、お客様や社内の人など周囲からどう評価されるかによって報酬や待遇が決まります。「あの人は仕事で手を抜き始めたな」と周囲からみなされてしまっては、元も子もありません。

新聞やウェブでは、「個の時代」がさかんに言われています。

だからといって、全員がインディペンデントな生き方を今すぐに始めるのは簡単ではありません。

私は、いきなり思いきった意思決定をするよりも、「試しにちょっとやってみよう」ぐらいの小さなアクションを見つけることが、時代の波を乗りこなすためのコツだと考えています。