インデックス投資にはない「アクティブ」の学び

先のコロナ・ショックのように短期間で株価が20~30%下落することも起こり得ます。投資先企業の事業環境や財務基盤が安全かどうかをハラハラしながら勉強するでしょう。

成果が自分に返ってくるから必死で勉強する。必死で勉強するから学びが多い。こうして、自身がビジネスを生き抜く上で必要な学びを、株式投資を通じて得ることができるのです。

一般的に投資対象とされる(私に言わせればほとんどが投機ですが)ものは、国債、不動産、金、外国為替、仮想通貨など、株式以外にも数多くあります。これらは、成功すれば生活防衛にはつながるかもしれませんが、自身の本業に活かせるような「学び」を得ることはないでしょう。

また、以前述べたように、構成企業の取捨選択による新陳代謝が確保されてさえいれば、株式インデックスは非常に有効な資産運用ツールですが、数百社に及ぶその構成企業の一つひとつのビジネスに思いを馳せることは難しいでしょう。

せっかくの学びの機会が存在するのに、これではもったいないと思いませんか。だから私は、たとえ運用資金の一部でも、株式への「アクティブな」投資に回すべきだと思うのです。

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「投資家の思想」が自分の仕事に役立つ

株式投資を通じて、ビジネスへの問題意識が変わっていくと「自社が解決している課題とは何か」「自社が社会に向けて発揮している価値とは何か」に思いを巡らせられるようになります。

例えば、あなたが衣料用洗剤の営業担当者だとします。このとき、上から「売れ」と言われた洗剤を売っているだけでは、ビジネスとは言えません。

顧客が抱える問題の根本にあるものは何かを考え、その解決を図るのがビジネスです。ゆえに商品を売る際にも、「お客様が本質的に望んでいることは何か」「お客様の真の問題解決とは何か」を考えねばなりません。

ここで、お客様が望んでいるものは、本当に洗剤なのでしょうか? おそらく違います。真に望んでいるものは、きれいな服であり、洗剤はそれを実現するための手段にすぎません。

そう考えると、仮に洗剤なしで十分に汚れを落とせる洗濯機や、そもそも汚れが付かない繊維といったものが生み出されたら、洗剤など必要なくなってしまいます。洗剤メーカーのあなたとしては、競合メーカーの洗剤の価格を気にするだけでなく、そのような技術革新が起こらないかの分析が必要になるし、場合によっては、洗濯機や繊維の開発を上司に進言しなければいけません。

顧客の背後にどのようなニーズがあるのかを紐解いていかなければ、真の問題解決にはならないのです。