「労働者1.0から脱却せよ」

皆さんは、何を考えながら日々の仕事をしていますか?

上司からの指示や顧客から受けた注文に対して、「どうすれば上司や顧客が気に入るのか」という「正解」を求めて、こなしているだけになっていませんか?

私に言わせれば、このような働き方は自分の頭で考えることなく「他人に働かされている」だけの状態です。私はこのような働き方を「労働者1.0」と呼んでいます。

単に上からの指示に従うのみで主体的に考える思考特性の無い人は、どんなに真面目に働いたとしても、ある程度のレベル以上に出世することはありません。プライベートを削って残業を増やすことで多少収入は増えるかもしれませんが、やがて頭打ちになります。身に付くものと言えば、その会社でしか通用しない社内調整のノウハウや蛸壺的な事務処理方法くらいのものです。おかしな上司に当たって心を病んでしまったり、意図せぬ部署に異動になったとしても、社外に活躍の場を求めることもままなりません。

そもそも、現代のビジネスの世界において「正解」などというものはありません。

かつてのモノが不足していた時代であれば、顧客は車や家電、住宅などの具体的に欲しいモノがあり、それをより効率的に提供することが「正解」でした。そのために均質な労働力、すなわち上司の指示通りに一定水準のアウトプットを出す能力が求められました。

しかし、現代は「モノ余りの時代」です。顧客のニーズはより抽象的に、見えにくくなっています。このような「正解のない」世界で勝つのは、上司の言いつけどおりにモノを作る人ではありません。

ビジネスパーソンに必須の「学び」

現代のビジネスの世界で成功する秘訣は「問題解決のためのアイデア」です。つまり、顧客自身もまだ気づいていないような課題や、上司が最適と考えている業務プロセス上の問題を発見し、それを解決することで「価値」を提供することです。そのためには、顧客や上司の言うことを聞いているだけではなく、より広い視野を持たなければなりません。

その第一歩は、自分が携わるビジネス領域において、企業戦略や産業構造、市場動向を深く知ることが不可欠です。そのためには財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を読みこなし、それに紐付けて発想、思考をすることです。

株式市場の引用符の表示をガラスに反映します
写真=iStock.com/Nikada
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いずれも、企業の経営者なら当たり前のように行っていることです。ゆえにその思考を身に付けることは、経営者の目線で物事を見ることに繋がります。日々の業務への問題意識の持ち方も変わってくるのです。

ただ、それらを身に付けるのは実際の業務のみではなかなか難しく、どこから手を付けていいのかわからないというのが現実でしょう。そのような人は、まず株式を購入してみて、投資先企業の財務分析してみればいいのです。自身のお金がかかっているわけですから、その企業の経営状況が気になるはずです。