4月判決は主権免除を認め、日韓合意も正当化
次に4月21日の2度目の判決の内容を見てみよう。
1月の判決と大きく異なるのは、主権免除を認めた点にある。ICJ(国際司法裁判所)の判決や韓国大法院(最高裁)の判例をもとにして「主権免除が適用される」と指摘し、「外国である日本に対して損害賠償の請求をする訴えはできない」と判断した。
さらに画期的で異例だったのは、日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年12月の「慰安婦問題の日韓合意」について次のように言及したことである。
「日韓合意は日本政府による元慰安婦を救済するための確かな措置だった」
「日韓合意には日本の謝罪や反省がきちんと織り込まれている。日本の資金で財団も作られた」
「日韓合意が元慰安婦の意思に反しているとは断定できない」
いずれも正しい見解である。韓国の裁判所もその気になれば、正当な判断をすることができるのだ。
文在寅氏は政権を握ると、すぐに日韓合意を否定
2015年12月の日韓合意では、日本と韓国の両外相がソウルで共同発表した後、安倍晋三首相(当時)が朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)に国際電話を入れ、謝罪と反省の気持ちを伝え、慰安婦問題に終止符が打たれたはずだった。
しかし、保守政権の朴槿恵氏が失脚すると、2017年5月に大統領に就任した左派の文在寅(ムン・ジェイン)氏は公約で日韓合意を否定し、2018年11月には慰安婦の財団も解散させた。
韓国民の反日感情を利用して自らの政権を盛り上げようとする作戦に出たのである。これまでも書いてきたが、文在寅大統領は反日種族主義(トライバリズム)の権化のような人物だ。