いたずら書きをすると集中力が高まる理由

話をしているとき、相手がメモにいたずら書きをしていたら、どうでしょう? 自分が軽んじられているようでイヤに感じるかもしれませんね。

ですが、意外な研究結果があります。イギリスのプリマス大学のアンドレイドらが「いたずら書きをしながらの作業のほうが記憶力が高くなる」と発表しているのです。

この実験は、参加者たちに録音テープを聞いてもらい、その内容を記憶してもらうというものです。これを

①「(落書きのように)図形をなぞりながら聞いてもらうグループ」
②「何もせずに黙々と聞いてもらうグループ」

の2グループに分けて行いました。

この結果、①の「図形をなぞりながら聞いてもらうグループ」は②のグループに比べて30%ほど記憶していた内容が多かったのです。

一般的なイメージとしては、一つのことに集中して注意を向けたほうが脳がよく働くように思えるかもしれません。

ですが、実は脳の集中力には持続力がないと考えられています。一定の量の集中力しかなく、この力を使い切ると、情報処理が止まってしまうのです。

ですから、作業の時間が長くなるほど注意力が散漫になり、飽きてしまったり他のことが気になったりしてきます(この作用を、脳の「認知負荷理論」と呼びます)。

写真=iStock.com/mediaphotos
※写真はイメージです

その点、いたずら書きのように手を動かすことは脳に刺激がいきます。このことがかえって脳のエネルギーを上手に分散させ、集中力を長持ちさせることにつながったと考えられるのです。

「考えない行動」を加えてエネルギーを分散させる

実は、脳は「無意識下」では複数のことを並行して処理するのが得意です。エネルギーが1カ所に集中しているよりも、さまざまな場所に分散されているほうがよく働きます。

ところが、意識している状態でのマルチタスクは苦手で、極端に集中力が落ちてしまうのです。

堀田秀吾『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)

たとえばいたずら書きレベルではなく、マンガや複雑なイラストであるとか、難しい計算などであると負荷が強すぎて話が耳に入ってこなくなるでしょう。意識的に行う作業をマルチタスクで行うことは基本的にできないのです。

このことを日常で応用するならば、たとえば暗記作業は机にじっと向かいながらではなく、後ろ向きで歩いたりとか、声を出しながらとか、あえて分散させると記憶の効率がよくなることが実証されています。

いずれにせよ、重要なのは「考えない行動」を加えることです。人は一つのことに長時間は集中できないようになっているのです。

ですから、休憩を挟んだり、ぼーっとして無意識の時間をつくったり、そうしてエネルギーを1カ所に集中させない必要があります。根を詰めてじっくり考えるよりも、ほどほどに考えるほうがよいということですね。

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