「対立をエスカレートさせないことを最優先に」と朝日社説

朝日新聞も4月18日付の社説で「日米首脳会談」を取り上げ、「対中、主体的な戦略を」との見出しを付けてこう書き出している。

「米国との緊密な連携は重要だが、対中戦略の一角を担うだけでは、日本の平和と安全を守りきることはできまい。台頭する隣国にどう向き合うのか。自らの主体的な戦略を描いたうえで、米国をはじめとする関係国と協働し、対立をエスカレートさせないことを最優先に取り組むべきだ」

読売社説と違い、中国との「対立をエスカレートさせないこと」を強調している。斜に構えた社説である。扱いも「半本社説」と小さい。

「米中双方に自制」という喧嘩両成敗は納得できない

朝日社説は書く。

「そもそもバイデン氏が、対面で会う初の外国首脳に首相を選んだのは、『唯一の競争相手』と位置づける中国に対抗するうえで、日本の役割を極めて重視しているからだ。高速通信規格『5G』の普及など、先端技術分野での協力に合意したのも、中国との競争が念頭にある」

アメリカは中国との競争に打ち勝つという自国の利益のために日本を利用している、と朝日社説は言いたいのだ。しかしながら、外交とはそうしたものである。自国の利益を最優先に考えるのが外交の基本だ。国民にとって見返りというものがなければ国民の支持は得にくい。

今回の日米首脳会談で、対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の尖閣諸島への適用を再確認されたのも、それが日本の国益となるからだ。朝日社説も「日本にとっても、尖閣周辺での活動を活発化させる中国に対応するには、米国の後ろ盾が欠かせない」と指摘しているではないか。

朝日社説はその後半でこうも書く。

「日本が果たすべき役割は、米中双方に自制を求め、武力紛争を回避するための外交努力にほかならない」

この「米中双方に自制」という朝日社説の喧嘩両成敗は納得できない。どう考えても間違っているのは中国である。香港の民主派を一党独裁の国力で弾圧する行為や、人権をまったく無視した新疆ウイグル自治区での行動は決して是認できない。

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