財産分与の対象となるもの
● 現金・預貯金(婚姻後のものであれば、名義人はどちらでもよい)
● 有価証券(株券、債券など)
● 不動産(土地、建物など)
● 家具・電化製品
● 自動車
● 金銭的価値の高い品物(骨董品・絵画などの美術品、宝石、着物など)
● ゴルフなどの会員権
● 保険料(生保、損保、学資保険など)
● 退職金・年金
● 負債(住宅ローン、子どもの教育ローンなど)
財産分与の対象とならないもの
● 婚姻以前にそれぞれが取得した財産(負債を含む)
● それぞれの家族・親族から贈与された、または相続した財産(婚姻期間中を含む)
● 婚姻後、趣味・浪費・ギャンブルなどのために個人的に作った借金
● 別居後に各々が取得した財産

退職金は受け取る前でも分与の対象になる

退職金がまだ支払われていない場合でも、将来的に支給されることがほぼ確実であると見込まれる場合は、財産分与の対象になると考えられます。しかし退職金の全額が対象になるわけではなく、あくまでも婚姻期間に応じた部分のみが対象になると考えられています。

また、財産分与で最も大きな問題になる財産が自宅。たいてい、最も資産価値が大きくなるからです。自宅を売却して、残債(ローン返済中の、まだ返済していない借入金の残額)を差し引いたのちに、二人で現金を分け合うのが通常です。売却価格が残債を上回る場合は問題ありません。二人で分け合えばよいからです。

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一方、残債が売却価格を上回っているケースでは、裁判所はそもそも財産分与の対象にならないと判断します。どちらかが住み続けるのを希望する場合は、相手の残債を受け持つことで名義変更することもできます。

購入時の価格が3000万円のケースで考えてみましょう。離婚時の売却価格は2000万円、ローンの残債は1000万円、財産分与の割合は夫50%・妻50%とします。

まず、財産分与の対象となる資産の評価額は、購入価格ではなく売却価格になりますから、2000万円です。

ただ、二人で分け合うのはなにもプラスの財産だけではありません。残債の1000万円も等しく半分ずつ分け合うのです。以上から夫も妻もそれぞれ、売却額2000万円の半分である1000万円がもらえ、残債1000万円の半分の500万円を抱えます。結局は夫も妻も各々、1000万円-500万円=500万円が手元に残るのです。

もし妻が自宅を自分だけの名義にしたい場合は、夫に対して500万円を支払い、夫が了承すれば、自宅は妻だけのものにすることが可能です。