3年別居すれば離婚が成立しやすくなる

ただ、熟年離婚をするといっても、相手方にも同じような意思があれば話もスムーズですが、一方が離婚を望んでいない場合や離婚条件で折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

裁判所が離婚を認めるためには、次の5つの「法定離婚事由」のいずれかを満たさないといけません。

1 相手に不貞行為(浮気)があった
2 相手から悪意をもって、夫婦の同居・協力・扶助の義務を放棄された
3 相手の生死が3年以上不明
4 相手が重度の精神病にかかり回復の見込みがない
5 その他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある

熟年離婚では実際は5が多いようです。なお、3年別居していれば法定離婚事由として認められると聞いた人も多いかもしれませんが、相手に拒否されれば成立はしません。

とはいえ3年も別居をしていれば、お互いの気持ちはほぼ離婚の方向で固まっていきますから、離婚は成立しやすいのが実際のところです。

ちなみに慰謝料については、1の不倫がわかりやすいでしょう。一般的には、100万~300万円が相場です。不貞行為を含め不倫でなくても、家庭内暴力や生活費を入れないなどDVも有責行為とみなされ、慰謝料の対象となります。

日本のシニアカップル
写真=iStock.com/THEPALMER
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離婚で財産分与したのにほとんどもらえない場合も…

離婚した場合、原則として夫婦で財産を分け合うことになります。ただし、「【民法768条3項】離婚に伴う財産分与」の対象となるのは、「婚姻期間中にその協力によって得た財産」です。

例えば、プロ野球選手であれば現役時代は大活躍すれば年俸数億円。CMでも収入があり、資産数十億円を築いたというスタープレイヤーもいるでしょう。でも現役を35歳で引退して翌年からコーチもせず無収入で、引退後に結婚したとしましょう。

この夫婦が離婚した場合、財産分与の計算は、現役時代に築き上げた数十億円の資産は対象にならず、あくまで結婚当時から得た財産がベースになります。つまり、無収入からの計算になるので、夫から妻に分与する財産はゼロとなってしまいます。ちなみに相続時の遺産分割においては、結婚前の財産も含めて対象となります。

ただし、結婚後の財産であっても、それが親からの相続または贈与を受けた財産である場合、その資産については離婚時の財産分与の対象とはなりません。

このように離婚したからといって、すべての財産が分与対象となるわけではないのです。財産分与の対象となる財産とそうではない財産をまとめると、次の通りになります。