財政出動を求め、増税論を避ける無責任さ

このような状態にもかかわらず、さらなる財政出動(+日銀の国債買い取り)を主張する政治家やMMT論者、統合政府論者は無責任極まりないと思う。

何も分かっていないのは問題だし、「ばらまいたところで、いずれハイパーインフレで国民から資産を回収だ」と考えているなら最悪だ。国民を馬鹿にしているのもいいところだ。

それに、与野党からも増税の話が出てこないのも情けない。積極財政論者と同様、事態を理解していないのなら能力不足であり、国民からの非難を怖がって増税を言い出せないのならポピュリズム政治もいいところだ。

もしかすると財政再建のためには、あまりの大増税が必要なので、政治家自身がすでに諦めているのかもしれない。危機感は有している点で、これなら政治家としての資質は、まだましな方だ。

「まさにモラルハザードですね」

2018年8月にお亡くなりになった一橋大学元学長、政府税調元会長で財政学の専門だった石弘光先生のお言葉(如水会会報2018年新年号・一橋大学OB会誌)をぜひ覚えておく必要がある。2度と同じ不幸を繰り返さないためだ。

「それ以来、国民に痛みを強いる、あるいは負担を強要するような政策は、ことごとくはねのけられてきましたね。それはポピュリズムですよ。口当たりのいい政策ばかりを挙げたてて、人気取りと財政のばらまきでここまできた。それが、国と地方合わせてGDPの2倍以上の1000兆円超えに上る借金となったのです。つまり、増税を先延ばししているだけですよ。政治家の性(さが)といえば性だけど、外国の政治家はもっとしっかりとしていますよ。だからこそ、日本のように巨額な借金を抱えない。そこが大きな違いじゃないかと思います」

「今の1000兆円超の借金は、全額返すなんてもはや不可能ですね。(略)嫌なことは全部先に延ばして、議論をしないですませようという腹積もりの政治家が多いですね。自分のときはやりたくないので、あとの人にやってもらえという考えです。まさにモラルハザードですね」

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