自動車ファンとしてはホッとする

【横山】ガソリン車的な、そしてFR車的な発想ですね。そんなことまでやっているのが経営幹部ご本人というのが、僕ら自動車ファンにとってはすごく頼もしいです。

撮影=尾関祐治

【野地】友山さんは「群馬の走り屋」だったというから。

【横山】サイコー、イイネ!(笑)。

走るクルマというと日産のGT‐Rもいいんですけど、ちょっと敷居が高すぎるんですよね。庶民が手が届かないじゃないですか。それがトヨタのハチロクなら、がんばれば買えるお値段で。

あと、ガズーレーシングでワンメイクレースのシリーズ戦をやってますよね。あそこは予選に落ちた人にも敗者復活戦があったりとか、モータースポーツを身近にしてくれていますよね。で、そうしたレースからフィードバックできるようなクルマが市販されているということだから、また自動車ファンとしてはホッとするというか。

【野地】この本ではモータースポーツのことは全然書いてないですけれど。

【横山】いえいえ、ここに書いてあること、つまり、もっといいクルマを作ろうという情熱の、その先にモータースポーツがあるんだなという感じは、ちゃんと伝わってきました。

僕らはムダが財産だったりして

【野地】改めて、この本をビジネスパーソンはどういうふうに読めばいいですかね。

【横山】標準の作業時間を調べるためにストップウォッチを持った人がそばに立って計る話がありますよね。

自分がそこの作業者だったらやだなあとか、集中できないなあとか、なんだよ、と思うかもしれないんですけど(笑)、でも、そういうチェックをしっかりするから、ジャスト・イン・タイムが機能するわけですよね。一見、監視されたりしているようだけど、そうして現場が無理をせずに、しかも効率が上がる作業スピードを追求している。そのあたり、管理されるのは嫌だと反射的に突っぱねる前に、今、そこで行われていることの意味をちゃんと考えてみるとか、そういうことは大切だと思いましたね。

【野地】ダブルジョイレコーズでもジャスト・イン・タイムを導入しますか。

【横山】うちは8人の小所帯ですけど、時間をムダにしないで、ムダな残業はなくすとか、課題を明日に残さないとか、この本を読んで、自分たちでもできること、見直せることはあるなと思いました。

【野地】僕も本を書きながら、やっぱりムダは無くしたほうがいいのかなと考えたりするんですけど。

【横山】僕らはムダが財産だったりもして、ゴミ箱の中からなんかビビビッとくるものを見つけて拾ったりすることもあるので、必ずしも全部が全部、効率よくというのがいいわけではないんですけど。