外資規制違反で明らかになった総務省の恣意的な法律運用
単純ミスだから良いという話にはならないものの、今回の一件で議決権比率が一時、20%を超えていたこと自体はそれほど重大なことではない。
放送法の規定上、仮に外国人投資家が経営に介入した場合には、即座に株主名簿の書き換えを拒否すればよく、会社側に意図がない限り、現実問題として放送会社が外国に支配されることはあり得ないからである。
むしろ、一連の事案において注目すべきなのは、メディア業界を管掌する総務省が、放送法をどのように運用してきたのかという部分だろう。
特に、東北新社と総務省の見解が食い違っていることは注目に値する。法がどのような趣旨で存在し、その運用はどうあるべきなのか、しっかりとしたコンセンサスを得た上で、行政府が明確な説明責任を果たさない限り、法によって国益を守ることはできない。総務省は、東北新社の認定取り消しについて、詳細を明らかにすべきだろう。