相手の怒りに巻き込まれないことは、場合によって、その人の痛みをやわらげる助けにもなるのです。
「この人のなかに5歳くらいの子どもがいるんだ。泣いているなら、もう少し優しく接してあげよう」。そんな気持ちになれるといいと思います。
その人を突き動かしているエネルギーはなにか
人間関係をうまく扱い、自分で管理できるようになるには、相手の立場に立って、その人の気持ちを読むことが役に立ちます。
相手の気持ちを読むというと難しそうに思えますが、手がかりは、「その人を突き動かしているエネルギー(感情・欲求・本能など)はなにか?」と考えることです。
あなたが不可解に感じても、相手にとっては、そうするだけの理由や目的があります。そんな相手を突き動かしているエネルギーについて、いろいろと推察したり、仮説を立ててみたりするといいでしょう。
相手を動かしているものが、愛や思いやりや分かち合いの場合もあるでしょう。また、「怒り」「嫉妬」「競争」「闘争」などの場合もあります。先にお伝えしたように、正面から向き合うのを避けたり、巻き込まれないようにしたり、容易に同調しないようにしなければなりません。
こうした人間観察を続けていくと、自分なりに人を見極める力がついてきて、不用意に「地雷のような人」に近づかなくなります。
もっと慣れてくれば、自分自身にも使えます。ネガティブな言動をしたときに、「いま自分を突き動かしているエネルギーはなんだろう?」と考えると、対処療法的にストレスをまぎらわせるのではなく、根本的な原因に向き合うきっかけになります。
こうして、自分もまわりの人も理解できるようになっていくと、よりうまく人間関係を「管理」できるようになるでしょう。
自分で自分を傷つけない
なにかに傷ついたとき、わたしたちは、その原因をつくった人のせいにしがちです。相手の言動によって傷ついたのだから、それは当然かもしれません。
でも真実は、人は他人からの攻撃によって傷つくわけではありません。
自分の「観念(思い込み)」によって傷つくのです。
たとえば、誰かに「君はいつも努力が足りないね」といわれて傷ついたとします。でも、なぜそれに傷つくかといえば、あなたが「努力が足りないのはよくない証拠だ」と思っているからです。
場合によっては、無理して頑張る必要はないかもしれないのに、自分の観念によってネガティブな感情を引き起こしているわけです。
「あなた、器が小さいわね」
「君さあ、最近太ってきた?」
そんな言動に傷つくのも、すべて自分がそれを悪いと思い込んでいるから。こうした観念は、子どもの頃の両親や友人との関係が原因だったりします。