しかし、あなたの許可なしに、誰もあなたを傷つけることはできません。

すべての出来事は、観念や思惑に関係なく、中立に起きています。その出来事にポジティブな意味を与えるか、ネガティブな意味を与えるかは自分次第。それによって、人生での体験もまるで変わってしまいます。

いまから「自分で自分を傷つけない」と決めませんか?

そうすれば、人間関係のストレスがかなり改善されるでしょう。

嫌な気持ちは“思い込み”から

誰かの言動をきっかけにして嫌な出来事があったとき、「心の痛み」が出てくることがあります。過去の悲しい思い出だったり、自分についてだったり、やや大袈裟なことをいうと、運命について。そんな、心の痛みです。

ある調査によると、人は3歳になるまでに、「ダメ」「危ない」「できない」といったネガティブな言葉を、数万回も受けて育つといわれています。その結果、なんとなく「わたしには価値がない」「愛されていない」「わたしはできない子どもだ」などと思うようになり、「心の痛み」を抱えてしまうのです。

人間関係で嫌な経験をすると、そんな思い込みが、痛みとなって生じます。つまり、嫌な気持ちになるのは、けっして目の前の人が原因ではないということです。

たしかに、目の前の相手は嫌な気持ちを引き起こした「きっかけ」かもしれません。でもあくまで、「自分が自分をどう思っているか」が、出来事に反映されているのです。

駅前広場で誰かを待つ男性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

だからこそ、嫌なことがあっても、人のせいにしないことが大切。

最初は難しいかもしれませんが、感情が乱れたときには、なるべく意識的に自分と向き合ってみましょう。

豊かな人間関係を育むコツ

「すべて自分のせいだ」と、逆に自分を責めるのでもないことにも注意してください。罪悪感を抱くのではなく、あくまで、自分の心の痛みと冷静に向き合う姿勢が必要です。

なにか痛みを感じたとき、「この原因はなんだろう?」とチェックする習慣を持ちましょう。それは、父親に受け止めてもらえなかったことや、ほめてもらえなかったことが遠因かもしれません。

そうして自分への理解を深めていけば、他人に簡単に振り回されることがなくなり、人間関係も好転していきます。

豊かな人間関係は、人生を幸せに生きるためにとても重要です。

なぜなら、どれだけ仕事で成功しても、お金を得たとしても、それは一時的な興奮のようなもので、満足感はずっと続かないからです。

世界中の「幸福感」に関する研究であきらかになっていますが、人はお金や社会的地位が一定以上になると、幸せを感じなくなります。