一貫して、女の幸福度が男を上回り続けている日本人

さて、本題に入るが、幸福かどうかを聞いた結果の幸福度を、他のさまざまな項目とともに、ほぼ5年おきに国際的に共通調査票で調べている「世界価値観調査」の最近回の結果が公表されたので(2021年1月)、このデータのジェンダーギャップについての国際比較を次に試みよう。

ジェンダーギャップ指数と幸福度の男女格差はどんな関係にあるかを知りたいと思う人は多かろう。

幸福度そのものの国際比較は、質問文の言語の差、あるいは幸福に対する文化的な考え方の差異が影響して解釈が難しい。例えば、所得水準に比例しているという結果はあるが、低所得の国でも幸福度の国別のばらつきは非常に大きいのである。

ただし、それぞれの国の幸福度の男女差については、回答者が同じ言語を使用し、同じ幸福感を持っている場合が多いはずであるので、むしろ、幸福度そのものより国際比較に適していると考えられる。

国際比較に入る前に、まず、日本人の回答結果について、時系列的に過去からの推移を振り返っておこう(図表2参照)。

幸福度(幸せと回答した者の比率)の推移は、男女計では、1981年、1990年には、77%程度だったが、2000年、2005年、2010年、2019年には、86~88%となっている。バブル期までより、その後の失われた10年、20年と呼ばれる時期のほうが、幸福度ではより高い水準となっており、意外な結果だともいえる。

ここで主題としている男女差だが、女性の幸福度から男性の幸福度を引いた数字で追ってみると、1981年から1990年に6.5%ポイントから8.1%ポイントへと開いた後、2005年にかけて2.3%ポイントまで狭まったが、2010年には8.1%ポイントと再度広がっている。2019年にもほぼ同レベルの7.2%ポイントの開きとなっている。

日本においては女性のほうが男性より幸福感を感じやすい状況が続いているといえよう。