「これはあなたが亡くなったら、ただのゴミだよ」

遺品整理であれば、その人の生活に思いをはせ、処分するものと誰かのために残すものを分ける。しかし生前整理の場合、誰のために残せばいいのか。ゴミ部屋には、例えば「レシートの束」や「賞味期限切れの食品」など、物としての価値はないが、当人にとってはこだわりのあるものが数多ある。

整理のために入室しようとする石見良教さん(撮影=笹井恵里子)

石見「私ははっきりと断言しますよ。『これはあなたが亡くなったら、ただのゴミだよ』と。いくら大切に保管してもなんの意味もない、今処分したほうがいいと話します。それでも『処分したくない』と言う人も多いですね。その時は、『じゃあ死ぬまで抱えといていいけど、あなたが亡くなった後に俺がここに来たら処分するからね』と言います。するとハハハと笑って、『いいわよー』と返されるのがオチですが。

でも、これだけは言えます。生前、介護、死後でいうと、死後の整理が一番大変。ですから元気なうちに、身の回りの物の整理を少しでも進めてほしい。エロ本のような“見られたくないもの”があって、自分の死後に見られて恥ずかしいと思うなら、やはり健常なうちに自分の手で始末するしかない。50歳を超えたら考えたほうがいいでしょう」

石見さんのもとには、これまで「自分が亡くなったら遺品整理をしてほしい」という依頼がおよそ70件あったという。中でも依頼して1カ月後に死亡してしまった60歳女性の事例が、興味深い。(続く。次回は3月27日公開予定)

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