なぜ中国はここまで過激な発言をするのか

沙鴎一歩はこれまで、習近平(シー・チンピン)政権が世界の平和と安定、そして国際秩序を大きく脅かしている、と強調してきた。米中会談での中国側の発言を見ただけでもその強権さや強引さがよく分かるだろう。

それではなぜ、中国はここまで過激な発言をするのか。今年7月に「中国共産創設100年」を迎える中国は、アメリカに屈しない姿を中国・大経済圏の一帯一路に関係する国々にアピールしたいのだろう。

アラスカでの米中会談は2日間で3回開かれた。気候変動と感染症の流行など米中の利益が重なる分野では、お互いの協力を検討することが確認された。台湾や香港などの議論は、中国の強い反発でどこまでも平行線をたどった。この平行線こそ、まさに新冷戦の緊張状態から生まれた対立であり、その責任は一方的に自国の言い分を主張する中国にある。

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アメリカ単独では経済的にも軍事的にも中国には対抗できない

米中会談で激しい批判の応酬が続いたことについて、日本の外務省などでは「想定の範囲内だ」と受け止める一方で、「アメリカから新冷戦を認め、その宣言をしたようなものだ。今後の米中はますます対立が深刻化する」と中国のアピール作戦に乗せられたとの悲観的な見方も出ている。

沙鴎一歩は、日本は米中関係が進む方向に常に注意を払う必要があると考える。日本とアメリカの最大の共通課題は「対中国」に絡む安全保障である。たとえば、中国海警局の船舶は、沖縄・尖閣諸島周辺の領海海域への侵犯を繰り返している。日本は対中国の最前線に置かれている。

バイデン政権は今回の中国との会談に先立ち、外務・防衛担当閣僚による「2プラス2(日米安全保障協議委員会)」を開き、日本との連帯感を強めた。もはやアメリカだけでは経済的にも軍事的にも中国には対抗できなくなっている。日本はアメリカに頼られている。これからも日米同盟を基軸とした日米の協力が欠かせない。

さらに3月20日の記事「 『目指すは現代の毛沢東』習近平の野望を止められるのは日本だけだ」でも指摘したように、日米豪印4カ国の枠組みである「クアッド」を駆使して強靭な「中国包囲網」を築き上げ、周辺の国々に圧力を加える中国に対抗すべきである。