パニックを誘発する「大きな声」は出さない

怖くなったり、パニックになったりすると「ワー」という大きな声を出したり、怖さを紛らわすため、何かを話したりしないと心がもたない状態になる人がいます。こういう状態のときは、心の中も荒れた海のようになっているため、周りが見えなくなってしまっています。

危険を察知するには、心の中を静かで波ひとつない湖面のようにする必要があります。まず落ち着きを取り戻すことに集中しましょう。心が落ち着いたら、周りを確認し、一番危険なものだと感じるものから対処します。

大きな声を出して、パニックを起こしてしまうと、リーダーの判断を狂わせ、自分はもちろん、仲間も危険な状態に陥らせることになりかねません。

さらに、何でもない人までもつられて心を乱してしまう可能性があります。まず、落ち着くことから始めてください。

大きな声を出すのではなく、「落ち着け! 落ち着け!」「考えろ‼ 考えろ‼」と思考を切り替えることが必要です。

「頭のフリーズ状態」から最速で回復する技術

仕事で厳しい状況に追い込まれてしまったり、一度に多くのことをやらなくてはならない状態に陥ったりしたとき、頭の中が真っ白になることがあります。通常ならば、それほど追い詰められてしまっては、もうお手上げでしょう。その状態が収まり、思考が働き始めるまではどうしようもありません。

自衛隊で訓練を行っているときにも、このように頭の中が真っ白になることがあります。しかし、頭の中が真っ白になり、フリーズしてしまうということは、戦闘ではそのまま死を意味します。そのため、このような危険な状態からいち早く回復する方法を身につけます。

頭の中が真っ白になってしまうのは、脳が処理できる量を超えた情報が入ってきて、パンクしてしまっている状態です。特に、至近距離で短時間に対応しなければならない事柄が複数発生すると処理能力を超えやすくなります。

回復方法としては、目の前の一番危険なものから対処していきます。一番危険なものが排除できれば、時間の余裕が生まれ、情報量を大幅に減少させることができます。次に2番目、3番目というように順番に片づけていくうちに、脳の情報処理能力が整理され、真っ白な状態から元の状態に戻り、思考が徐々に回復していきます。

「どうしようもない状態」になったら負け

会社であれば、最初に対処すべき重要なことといえば、社員の安否、会社の威信の失墜、財務状況の急激な悪化などが考えられるでしょう。

また、個別の業務や日常生活の中で、何かを言われて頭が真っ白になってしまった場合には、一度間合いを切って、深呼吸などし、振り切れてしまった思考の回復を待ち、対応要領について考えられるようになってから、再開すべきでしょう。

「検討のうえ回答致します」というように、所用を理由に状況を一度切り、再チャレンジする方法が有効です。ここで切り返すことができないと、より深手を負うことになります。また、そもそも追い詰められる前に対処することがより重要です。