テスラ「モデル3」に次ぐ大ヒット車種に

昨年7月の全国発売以来、年末までに11万2000台が売れた。年間販売台数は米テスラの「モデル3」の13万7000台に次ぐ2位だが、月単位ではトップ。世界全体でも単一車種としてはモデル3に次ぐ売れ行きのようだ。

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上海汽車集団はこの分野のヒットにより、2020年の新エネルギー車販売台数が中国トップとなった。これまで中国では比亜迪(BYD)が同国の新エネ車分野を牽引してきたが、2020年は2割近く落ち込み逆転を許した。

上海汽車に加え、長城汽車も好調だ。販売台数は4割増えて6位に順位を上げた。7万元(約110万円)の小型EV「欧拉R1(黒猫)」がヒットし、コロナウイルス感染拡大で所得が減った消費者をつかんだ。

スズキを含めて、日本の大手自動車各社が懸念するのが、こうした中国製の小型EVの輸入だ。

中国各社は国外での販売も視野に入れている。五菱汽車は昨年8月、輸出する方針を示した。欧州のラトビアの自動車メーカーが提携して欧州市場で販売すると一部メディアが伝えている。

小型EVには「年間100万台の潜在需要」がある

さらに、国内でも出光興産がタジマモーターコーポレーションと組み、超小型EVを核とした次世代モビリティサービスの開発と提供を行う新会社として「出光タジマEV」を2021年4月に設立することを発表、異業種の参入も進む。

出光タジマEVが開発中の超小型EVは、全長2.495メートル、幅1.295メートルの4人乗りで最高速度は時速60キロメートル、フル充電の航続距離は120キロメートル程度を見込む。

出光はこの超小型EVを2022年中に全国に約6400ある給油所を拠点にカーシェアリングのほか、実際に販売する予定だ。価格は100万~150万円を想定、これは軽自動車と遜色ない価格帯だ。

1回の充電で走れる距離は120キロメートル程度だが、運転の苦手な人でも小回りが利き、スピードも最高速度を時速60キロメートルに抑えるなど、簡単に操作できるようにした。出光関係者は「主婦層や高齢者など運転に不慣れで不安を感じている層が安心して買い物や子どもの送り迎えなど日常生活で使う分には十分だろう」と話す。

同社では年間100万台の潜在需要があるとみている。

トヨタも2020年末から超小型EV「C+pod」を発売している。メーカー希望小売価格は165万円(税込)だ。日産自動車やホンダなどもモーターショーでコンセプトカーを出展するなど開発を進めているほか、スタートアップなども参入を目指している。

写真=トヨタ自動車WEBサイトより
トヨタ自動車の2人乗り超小型EV「C+pod(シーポッド)」。価格はXグレードが165万円。