離党して議員を続けることの理解が得られるか…
五輪相を辞して組織委の会長になるということは、五輪相はさほど重要ではないのか、という突っ込みが出るだろう。そもそも今回の騒動が浮上するまで、組織委の会長より五輪相のほうが「格上」と考える人が多かったのではないか。
また、橋本氏の後任には五輪相経験者の丸川氏が就くが、彼女も森派の流れをくむ細田派所属。2016年の都知事選では小池百合子氏と戦う候補の遊説の司会役を買って出て「女の戦い」と注目されたこともある。小池、丸川の両氏は、今も微妙な関係と言われている。
橋本氏は比例代表選出の参院議員。自民党支持者から票を得て当選している。離党して議員を続けることへも、疑問が上がるだろう。このように、次から次へと「政治問題」が浮上する。
焦点は「わきまえない女」になれるかどうか
「④スキャンダルなどの問題はないか」はどうか。2014年のソチ冬季五輪の打ち上げパーティーで橋本氏が高橋大輔選手に抱きついてキスをする写真も報じられた。橋本氏が後継会長候補に名が上がってから、この「逆セクハラ」ともいえるニュースはほじくり返され、世界にも打電されている。国内では旧聞に属するが、国際的にどう受け止められるか。
今回の人事では、森氏から川淵氏への「密室指名」への反発から「透明性」がキーワードとなった。どんな人事でも途中経過まで透明に行うのは不可能に近いのは事実だが、非公開の検討委での橋本氏選出は、国内世論から無条件で受け入れられない船出となりそうだ。
まずは、橋本氏が「森色」を脱し、政治とは一線を画した組織委の運営を行い、自身が「わきまえない女」であることを実証できるかどうかが焦点となるだろう。