昨年4月には立民議員が「セクシーキャバクラ」で除籍に

政治家の責任の取り方は、時々の政治状況によって変わる。松本氏がウソの説明をしたことは大問題だが、それなら安倍晋三首相は「桜を見る会」について、事実と異なる答弁を国会で繰り返してきたのはどうなるか。1日には、記者からもこの指摘があったが、菅氏は正面からとりあわず「(安倍)総理は、この間の委員会の中でお詫びされた」と語った。

最近、政治家が責任をとった例としては、大手鶏卵生産会社アキタフーズ元代表から現金を受け取った疑いが持たれた自民党の吉川貴盛元農相が「健康上の理由」で議員辞職した。一方、公選法違反が問われている河井克行元法相、河井案里参院議員の夫妻は自民党を離党。案里氏は議員辞職することになったが、克行氏は衆院議員にとどまっている。

コロナ禍の不適切行動という点では昨年4月、高井崇志衆院議員が新宿・歌舞伎町の「セクシーキャバクラ」を訪れていたことが発覚。立憲民主党から除籍処分となったことがある。

「クリーン」標榜の公明党は厳しい処遇が多い

政党別に対応が割れた例として、1980年代から90年代にかけて政界を震撼させたリクルート事件のことを紹介しておきたい。リクルートの関連会社であるリクルートコスモスの未公開株などが政界、官界にバラかまれた同事件。各党、「疑惑議員」の対応はどうだったか。

派閥の領袖クラスから中堅議員まで、軒並み疑惑が指摘された自民党。将来の首相候補と目された藤波孝生氏は、受託収賄罪で起訴されて離党したが、自ら議員辞職することはなかった。この他、中曽根康弘元首相は一時離党。首相だった竹下登氏は、自身の疑惑も指摘されて首相退陣に追い込まれた。

当時野党第1党だった社会党は、上田卓三氏の疑惑が指摘されて議員辞職。公明党は池田克也氏が在宅起訴されて議員辞職に追い込まれている。

他のスキャンダルの事例をみても、自民党は、議員辞職に発展することは比較的少なく、離党や役職の離脱にとどめ、選挙などの「みそぎ」を経て復党するというパターンが多い。

自民党議員の場合、個人の強固な後援会組織に支えられて当選している例が多いため、進退については個々の判断に委ねられる傾向があるのだ。

一方、クリーンを標榜する公明党は、一気に議員辞職となる確率が高いようだ。