「一生懸命やっているからしかたない」と開き直り?
しかし、冷静に考えると27日の質疑は、蓮舫氏も問題だが、菅氏側も問題があったことを指摘せざるを得ない。
菅氏の「言葉が伝わらない」という批判は首相就任以降、しばしば指摘されてきたことだ。時として感情をあらわにし、野党を挑発するような発言もした安倍晋三前首相とは違い、菅氏は官僚が用意した紙に目を落とし、淡々と読む展開が延々と続く。蓮舫氏が指摘したことは、多くの国民も同意するはずだ。
そして「失礼ではないか」とした後、「私は、少なくとも総理大臣に昨年の9月に就任してから……」と続く答弁は、言い換えれば「一生懸命やっているからしかたない」と開き直っているともとれる。政治は、結果責任が問われる。一生懸命やっているから、休んでないから、成果が出なくてもいいという話にはならないだろう。
かつて集団食中毒を起こした企業の社長が、記者会見の後、質疑の続行を求める記者団に「私は寝ていないんだ」と発言して世論の批判を一身に浴びたことがある。そういう事態になりかねない発言だった。
「政治への信頼を深く傷つけてしまった」と議員辞職に
自民党内には「蓮舫氏の自爆のおかげで、批判は野党に向かう。菅内閣の支持も上向くだろう」という見方もある。しかし、それはあまりにも楽観的すぎる。
「銀座通い」問題の余波は続く。松本、遠山の両氏は1月29日、責任をとって役職を辞任。遠山氏には新たに公設秘書がキャバクラなどの飲食費を政治資金から支出していたことも発覚した。クリーンを標榜している公明党にとっては大変なイメージダウンだ。
話はこれで収まらない。遠山氏は2月1日、「政治への信頼を深く傷つけてしまった」と議員辞職に追い込まれた。
松本氏の銀座訪問には、大塚高司国対副委員長、田野瀬太道文科副大臣も同席していたことが判明。3人は離党届の提出に追い込まれた。
これまで、国会議員の出席は自分1人と説明してきた松本氏は「事実と違うことを申し上げ、心からおわびしたい」と謝罪。菅氏は首相官邸に報告に来た田野瀬氏に対し「あるまじき行為だ」と叱責した。
銀座訪問問題は、辞任ドミノの様相を呈してきた。