新型コロナ対策で論戦が続く通常国会が荒れている。検査体制の強化、ワクチン接種のスケジュールなど国民の生命、健康に直結する議論は脇に置かれ、国会議員の不適切な行動や発言ばかりが俎上にのせられる。いまや論争の主役は「上級国民の乱行」になっている――。
「SNSで『国会議員は上級国民』と拡散されている」
テレビなどで繰り返し報じられているように、1月27日の参院予算委員会での菅義偉首相と蓮舫氏(立憲民主党)の論戦は特筆するべきものだった。
質問に立った蓮舫氏は冒頭、与党2議員の「不祥事」を取り上げた。自民党の松本純国対委員長代理、公明党の遠山清彦幹事長代理が、緊急事態宣言発令下に銀座の高級クラブを訪れていた問題だ。
「あのね。SNSで『国会議員は上級国民』と拡散されているんですよ。えらい迷惑ですよ、私たち」
民主党政権時代、事業仕分けで官僚たちをやり込めた、あの口調で迫る蓮舫氏。緊急事態宣言で国民の行動を縛り、さらに新型インフルエンザ特別措置法と感染症法改正案では、さらに、休業に応じない事業者や、入院に応じない感染者に罰則を科す議論が始まっている中、国会議員が夜の銀座に出入りしているのは示しがつかない。蓮舫氏が言うようにSNSでは「上級国民」に対する批判の声があふれた。
「私自身は精いっぱい取り組んでおるところであります」
「申し訳ない」と繰り返す菅氏に蓮舫氏は「怒りは感じないのか」と挑発。さらに菅氏の語りに「熱意」が感じ取れないことを指摘し続ける。そして、クライマックスを迎える。
「そんな答弁だから、言葉が伝わらないんです。国民に危機感が伝わらないんですよ。あなたには総理としての自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする、そういう思いはあるのですか」
これに対して菅氏は「少し失礼じゃないでしょうか」として、こう言い放った。
「私は、少なくとも総理大臣に昨年の9月に就任してから、なんとかこのコロナ対策、1日も早い安心を取り戻したい、という思い出全力で取り組んできた。できることはさせていただいている。私自身は精いっぱい取り組んでおるところであります」