3.勤務時間の短縮等

〈所定外労働の制限(残業免除)〉
労働者からの請求により、対象家族1人について、介護の必要がなくなるまで残業の免除が受けられます。1回につき、1カ月以上1年以内の期間で回数の制限はありません。

井戸美枝『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)

〈深夜残業の制限〉
深夜残業の制限を請求すると、午後10時〜午前5時の深夜残業が免除されます。1回につき、1カ月以上6カ月以内の期間で回数の制限はありません。

〈所定労働時間の短縮措置等〉
所定労働時間(勤務時間)の短縮、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、労働者が利用する介護サービス費用の助成、そのほかこれに準じた制度のいずれかの措置を取ることが義務づけられています。介護休業とは別に、利用開始から3年以上の期間で2回以上の利用が可能です。
また、会社によっては独自の両立支援策を定めているケースがあります。新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅でのリモートワークが進みましたが、在宅介護をする従業員に対してリモートワークを許可している会社も増えています。
さらに、外部の専門家を紹介して、介護相談の場を設けている会社もあります。介護は一人ひとり状況が異なります。仕事との両立の仕方やおすすめの介護サービスなどを教えてくれることもありますので、会社でどのような支援策があるのか人事担当者に問い合わせてみましょう。

「子どもの教育費のことを考えると、退職を思いとどまってよかった」

前述のP子さんは、上司のすすめで介護休業を3カ月取得することにしました。その間、実家に戻り、父が要介護認定を受けるときの手続きを母に代わって行うなど、父の介護のキーパーソンになりました。P子さんが仕事に復帰したとき、どのように父のサポートをするのか、母や姉と何度も話し合いました。

父は結局、半年後に亡くなりましたが、子どもの教育費のことを考えると、「退職を思いとどまってよかった」と感じており、職場内でほかの社員に対してアドバイスをする役割をかって出ています。

また、Q夫さんは、賃貸住宅を追い出される前に、知人のすすめで自治体の福祉事務所に出向いて生活保護が受けられるかどうか相談しました。その結果、生活保護を受けられることになり、保護費を受給している間、ハローワークで職業訓練を受けて再就職することができました。

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