投資の成功のカギ「シャープレシオ」をどう高めればいいのか

では、どうすればシャープレシオを高めることができるでしょうか?

分母の数値を低くするために必要なのは、多様化です。商品Cが下がれば商品Dが上がりやすくなるなど、逆の値動きをしやすいものをたくさん集めることが重要です。

例えばCが50%上がってDが40%下がれば、Cの値上がりの多くは打ち消されてしまいます。それではもったいないと思う人もいるかも知れません。確かにリターンを高めることも大切ですが、ポートフォリオを多様化してリスクを抑える方に少し比重を置くべき、というのが僕の意見です。ポートフォリオの暴落を避けることができ、長期的にはいい効果が得られると思います。

10の銘柄に投資して「すべてが日本の個別株」はアウト

シャープレシオをどうやって高くするかについては、世界中に1万以上ある投資ファンドがみな競って答えを探ろうとしていますが、どんなプロフェッショナルであっても簡単には答えが見つかりません。とはいえ、できることはあります。まずは相関係数が低いものを選んで、多様化することです。例えば10の銘柄に投資しても、すべてが日本の個別株だけではシャープレシオは高くなりません。もし日本で甚大な災害が起きたりすれば、10の銘柄すべてが暴落する可能性があるからです。

高橋ダン氏(写真提供=KADOKAWA)

その10銘柄のうち、ひとつが米国株であれば、9の銘柄が下がっても1銘柄は上昇するかも知れず、あなたの資産全体の下落は少し抑えられるかも知れません。さらに、日本株を1銘柄にして、ほかを米国株、途上国株、米国債、金、原油などと、投資先を多様化していれば、すべてが下がるといった事態を避けられる可能性はさらに高くなります。

例えば伝統的には株と米国債は違う値動きをしやすいですし、先進国と途上国、あるいは国によって、また株とコモディティも相関性が低いときがあります。とくに米国債と米国株は、歴史的には逆方向に値動きしてきたことが多いといえます。経済危機があれば株が下がり、時には債券もコモディティも下がりますが、少し経つとそれぞれが異なるスピード、独自の理由で価格が回復していきやすいなどの傾向があります。

僕がおすすめした長期積み立てのポートフォリオは、多様化の効果についても考慮しており、シャープレシオを高める組み合わせになっていると思います。投資を経験し、メンターから学び、本を読み、たくさんの人と話し、データをたくさん分析し、多様化の提案をしています。

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