最大の謎

さて、ここで大きな疑問が浮かんでくる。

正規のルールにのっとって投票が行われ、その結果が出れば、それでおしまいではないか。いったいなぜ、トランプ大統領も共和党もいつまでも無駄な試みを続けようとしたのだろうか? 単に「復讐」だけなのか?

この問題に深く突っ込むアメリカのメディアの記事を見たことがない。なぜアメリカのメディアがそうしないのか。触れてはいけない何かがあるのか。

1つの推測として、バイデン氏の健康状態が悪くなり、大統領としての執務能力の低下は不可避と判断されているのではないか。バイデン氏は、40歳代で脳の手術を2回受け、危篤状態になったことがある。だが、このような重要な問題を今、論じるのは不謹慎であり、不道徳であるとする傾向がある。

写真=iStock.com/P_Wei
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もし、大統領就任後のバイデン氏に何か起これば、ハリス副大統領が取って代わることは決まっている。だが、一般的なアメリカ人は口外しないが、ハリス氏では、とてもアメリカの内外政策を任せられないとする向きもある。ハリス氏の前歴はカリフォルニア州の司法長官である。大統領の重責を担うには経験不足だと思われる。

さらに民主党では今、極左勢力が力を強めつつあり、騒ぎが起こっている。アメリカでは人々は自分で苦労し、懸命に働き、ビジネスで成功することを若いうちから考える。そのために自分自身に鞭を入れ、努力を重ねる。だから社会主義者は、アメリカでは嫌われる。民主党もとうてい一枚岩とはいえないのである。

バイデン政権は前途多難である。共和党支持者が、最大級の攻撃を仕掛けてくるだろう。共和党は今後4年間、民主党やバイデン新大統領がやることをよく見て、弱点を見つけ追い詰める戦略を取るだろう。

分裂し、派閥化するようになれば民主党は弱体化する。それは十分推測できる事態だ。ならば4年後の大統領選挙で政権は取り戻せる、と共和党は考える。だから、「肝心なことは、民主党と敵対しておくことだ」という作戦の基本ができてくる。次の4年を見据えた闘いは、すでに始まっているのである。

アメリカのメルトダウン

最後に。

一部でこんな噂がある。1月20日に大統領就任式があるが、トランプ大統領はそれ以降もホワイトハウスに残る作戦を練っているというのだ。そのために軍隊をホワイトハウスに入れて、クーデターのような状態をつくるというのだが、左翼系メディアのFake記事である。

確かに大統領は、全軍の最高指揮官である。しかし、だからといって勝手に軍隊を使って、国を乗っ取ることは許されない。主権は民のものだ。国家騒乱罪に値すると思う。

トランプ大統領に恩赦を受け、トランプ氏の元に戻ったマイケル・フリン元国家安全保障担当補佐官の進言であるといわれる。なんと民主主義の原則を無視した論議であろうか。

新型コロナウイルスが新たに大暴れを始め、患者、死者が増えている中でこのような愚かな会議を開いているホワイトハウスは、いったい何を考え、わきまえているのであろうか。天下の座にいる自覚がないのであろうか。それこそ、アメリカのメルトダウンへの道である。

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