4人に1人が「受けたくない」と回答
こうした事実が明るみに出る中、筆者は若者たちが「接種できないことに対する不満」をどうぶつけてくるのか、手を尽くして探してみたところ、全く予想外の声が聞こえてきた。
曰く、「コロナにかかったとしても軽症で終わる」、「感染対策をしっかりしているので不安はない」、「陽性者追跡アプリを入れているが、実際に陽性者が引っかかってきたことがないので、コロナが差し迫った身近なものとは思えない」など、ワクチン接種への興味が感じられる答えは聞かれなかった。
ロンドン市役所が行った市民を対象としたワクチンの接種に対するアンケートの結果を改めて読んでみた。それによると、「ワクチンを受けたい」との回答は66%にとどまる一方、「受けたくない」との答えは25%近くに上っている。また、「受けたくない」との回答者のうち、およそ半数は「政府の接種ガイダンスが信じられない」または「製薬会社が信用できない」のどちらかを答えたという。
ネットに蔓延する陰謀論
また、45~54歳のほとんどが「受けたくない」と回答した。これでは、政府が50歳未満の国民に対する接種を積極的に進めなかったところで大きな騒ぎにはならないだろう。
国民がワクチンを打ちたがらない別の理由もある。
実は、英国のみならず欧米各国では程度の差こそあれ、「コロナウイルスの存在は製薬会社などによる陰謀により作られたもの」という説がインターネット上で蔓延しており、これを信じてワクチンを打ちたがらない層がいるという。
各国の保健当局は、「こうした陰謀論はフェイクニュースである」と一生懸命に打ち消しを行っているが、若年層の約15%が「ワクチンは製薬会社を儲けさせるためのもの」と信じている、という調査結果も出ており、各国の保健当局はさらなる「情報戦略」に追われることになりそうだ。
費用は無料、サッカー場や大規模施設が候補に
ワクチンの接種については、NHSから「接種の優先順位」に応じて、各住民に対して「接種場所と日時等が示された招待状」が送付される見込みだ。なお、ワクチン接種費用の自己負担金はゼロ(無料)だ。
今後、各年齢層ごとに接種が進められるわけだが、2000万人を超える人々に対し、4カ月余りで接種を終える計画だとすれば、50カ所の「ワクチン接種ハブ」だけでは対応が間に合わない。