自分の「弱さ」を忘れないよう、今日も断酒を続けている

だから、もし人生をやり直せるとしたら、ぼくは酒を覚える前の地点に戻りたい。また酒のある生活を取り戻したい。それが嘘偽りのない本音である。愚かにもぼくは、いまだ自分がアルコールに溺れることなく、コントロールできる人間だと心のどこかでは思っているのだ。

宮崎智之『平熱のまま、この世界に熱狂したい 「弱さ」を受け入れる日常革命』(幻冬舎)

しかし、ぼくは飲まない。少なくとも今のところは、もう二度と飲まないつもりでいる。なぜか。意志が強くなったからなのか。

決してそうではない。事実はまったくの逆だ。ぼくは意志が強くなどなっておらず、相変わらず弱い。しかし、酒に手が伸びそうになったとき、ぼくを寸前で止めてくれるのは、むしろ「弱さ」のほうである。再び敗北するのを恐れる臆病な「弱さ」が、酒をコントロールできるという思い込みから、ぼくを少しだけ引き離してくれる。

それを何度も何度も繰り返して、日々を積み重ねていくしかないのだろう。自分の「弱さ」を忘れないよう、今日も断酒を続けている。

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