強力なライバルの存在があったからこそ、そのライバルとの違いをうまくアピールしていく中で、阪急ブランドの個性がより強調されていったと言えるかもしれない。
創業時からの一貫した目標、惜しまぬ労力……
多くの企業には高い次元の目標・目的意識が必要だ。それは顧客にとって、なぜその企業・ブランドを選ぶのかという理由になり得る。
阪急の場合は創業時から一貫して「人々の暮らしをより豊かにする」という目標を掲げ、「豊かな暮らしができる」「豊かさを感じられる」そんな夢を人々に抱かせ実現し、そのための労力を惜しまずたゆまず続けてきた。
競合会社との熾烈な争いの中では、宣伝・広告においても小林の能力が発揮されてきた。阪急が別格扱いされる理由は、この「鉄道会社らしからぬブランド力」にあるのではないだろうか。
『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』(交通新聞社新書)では、創業時からの阪急の歩み、阪神との熾烈な争いあれこれのほか、車両や駅・サービスなどに表れるこだわりの数々を紹介している。興味のある方はぜひ本を手に取ってほしい。