勘違い(4)成熟市場の製品がそのまま通用する

成熟市場で通用するものは、新興市場でも売れるはずだと企業幹部は思い込んでいる。しかし、消費者の特定のニーズに合わせた機能と価格の製品をつくる必要があるのだ。

電気通信業界の巨人、ノキアは、インドの総人口の70%が農村に住んでいることから、農村部が巨大市場になりうると考えた。そこで、懐中電灯機能、ダストプルーフ・キーパッド、複数アドレス帳および個人別通話時間記録機能(電話を共同使用する場合のため)を備えた携帯電話を設計した。この携帯電話はサイズが大きく、成熟市場ではあまり訴求力はないが、農村の人びとにとっては便利で魅力的な製品になっている。ノキアはさらに、インドの農村部に合わせたマーケティング戦略を採用した。携帯電話の利点を宣伝するとともに、顧客のニーズについてさらに情報を集めるために、辺鄙な村に宣伝カーを送り込んだ。

勘違い(5)サービスより製品を重視する

多くの企業がサービスを怠って、顧客をつかみそこなってきた。われわれは、電話によるトラブル解決や出張セットアップなどのサポートが、途上国でのテクノロジー製品の販売促進に果たす役割を調べるために、いくつかの調査を行った。その結果、これらのサービスは売り上げに大きな影響を及ぼすことが明らかになった。たとえば、パソコンの場合、サポートサービスによって売り上げが10%も伸びることがある。

ビジネス客の場合はさらに大きい。BRICs諸国の中小企業対象の調査では、回答者の3分の2が、テクノロジー機器とともに、サプライ用品の自動補充サービスはもちろん、出張メンテナンスサービスも申し込む可能性が「高い」もしくは「きわめて高い」と答えている。

(文=ラドゥ・アウフ・デル・ハイデ、クリスティ・サンジャジャ 翻訳=ディプロマット)