「温暖化のせいで台風が増えた」も誤り

台風も同じことで、これも環境問題ではない。

池田清彦『環境問題の嘘 令和版』(MdN新書)

CO2が増えて温暖化したから、台風が増えるという俗説は事実に反する。気象庁のデータを全部調べてみたが、日本では台風の数は、傾向として徐々に減っているし、大きさも小さくなっているし、被害総額も昔のほうがうんと大きかった。

伊勢湾台風(一九五九年)なんて大変だった。死者・行方不明者の数は五〇〇〇人を超えて、明治以降の台風の災害史上最悪の惨事だった。

若い人は伊勢湾台風とか狩野川台風(一九五八年)とか知らないから、去年に比べたら、今年は台風がいっぱい来たと、ほんとに数年単位の現象だけを見て温暖化のせいだろうか、などと言っている。温暖化というのは、そんな一年や二年の話ではない。そういうことをちゃんと知っておく必要がある。

朝日新聞やNHKは、なんでこのに及んで、温暖化を煽っているのだろうか。NHKは政府の言うことを聞かないと民営化されて甘い汁を吸えなくなるので、分からないでもないが、朝日新聞(他のマスコミも似たりよったりだが)はどんな利権があるのだろうか。政府が温暖化阻止と言って、政策を進めている以上、温暖化は噓でしたとは言えない状況になっているのだろう。

温暖化が噓だということになると、炭素税は取れなくなるし、関連補助金は、出す必要がなくなるし、エコカー減税もいらなくなるし、原発もいらなくなるし、ということになり、困る人がいっぱいいるのだろう。原子炉をさらにまだ作ろうなどと発言している人もいるが、短期的に儲かれば、あとは野となれ原子力とでも思っているに違いない。

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