そもそも本当に温暖化しているのか

地球温暖化の例として、氷河が崩れ、シロクマ(ホッキョクグマ)が流氷の上に取り残されたりする映像が流れることがあるけれど、氷河は温暖化したから崩れるのではなくて、後ろからどんどん押し寄せるから、その圧力で崩れているだけだ。

ホッキョクグマの研究をしているカナダの進化生物学者のスーザン・クロックフォードによると、ホッキョクグマは、気候変動で絶滅していないどころか、四〇年前に比べて、相当増えているという。

南極の氷も増えたり減ったりしているし、北極の氷も同じだ。一九五九年に米国海軍の潜水艦「スケート」が氷の全くない北極点に浮かんでいる写真があるという(渡辺正『「地球温暖化」神話』一〇三ページ)。六〇年とか一〇〇年ぐらいの時間のスパンというのは、地球の歴史から見たらほとんど点みたいなもので、そんな短い時間に起こる気温の上下を、温暖化とか寒冷化とか呼んでもたいした意味はない。

二〇一八年と二〇二〇年の冬にフロリダ州南部を寒波が襲い、木に張り付いて生息している、イグアナという、でっかいトカゲが、寒さでバタバタ落ちている映像があった。少し前、イランの空港が大雪で閉鎖になったりもした。地球の気候がいろいろアンバランスになっているとは言えるかもしれないけれど、それが温暖化の影響か、氷河期の前触れか、よく分からない。

過去のデータを見れば、現代だけが温暖化しているわけではないことが分かる。例えば、「中世温暖期」といって、一〇世紀頃結構暖かかった時がある。暖かかったけれど、それは人為的温暖化とは無縁である。もちろん人間の活動はあったが、化石燃料を使ってもいなかったし、CO2を人為的に増やすなどということはなかった。そういう時でも温暖化しているわけだ。

太陽が原因で寒冷化することもある

もう少し前の日本では、縄文時代の最中、七〇〇〇年ぐらい前から五〇〇〇年前ぐらいの間はヒプシサーマル期といって、現在より摂氏数度気温が高かった。「縄文海進」が起こり、東京湾のまわりの低地は全部海の底だった。その時代の温暖化は、なおさらCO2とは関係ない。

近々で一番寒かった時は、一六〇〇年代の後半から一七〇〇年代のアタマぐらいである。それからずっと一八〇〇年代の半ばまで寒さが続いて、ヨーロッパで食べ物がなくなって困ったということがあって、それは太陽の黒点が無くなったことと関係する。一六四五年から一七一五年の間、マウンダー極小期といって黒点がほとんど無くなった。その時期が一四世紀半ばから一九世紀半ばまで続いた小氷期のピークだった。

太陽の黒点については、ガリレオ以来すでに約四〇〇年の観測の歴史があり、黒点の数は太陽活動の活発さを表す指標になっている。黒点の数は約一一年を周期として増減を繰り返してきた、ということも分かっている。

太陽の活動が活発でなくなると、どうも寒冷化する。

地球の温度変動は、太陽の活動のほうが、CO2よりもはるかに重要な要因なのだけれども、太陽の活動は人間がコントロールできないから、これはどうしようもない。人間がコントロールできないことは環境問題とは言わない。