企業による「占いビジネス」は低迷している
実は、ここ数年、事業会社による、店舗での対面鑑定や電話占い、占いサイトなどの既存市場はそれほど拡大していない。占い事業各社の決算を見ても、売り上げは横ばいまたは微減傾向が続いている。
例えば、16年以上前からいち早く占いサービス事業を展開しているザッパラスの場合、2017年4,847、2018年4,800、2019年4,170、2020年3,789(いずれも単位百万円、4月期連結)。メディア工房(占いコンテンツ事業)の場合、2018年1,770、2019年1,647、2020年1,598(いずれも単位百万円、8月期)というように、売り上げは年々減少している。
急激に売り上げを伸ばす「占いブロガー」
一方で、急増しているのが、占い・スピリチュアルに関連する個人のブログやYouTubeなどの無料コンテンツである。コロナによる外出自粛が追い風になってはいるが、それを差し引いても、その伸びは目覚ましい。
例えば、冒頭で登場した「引き寄せ」をテーマにした人気ブロガーの“HAPPYちゃん”は、「引き寄せ」を実践した徹底的な自己開示やガーリーなルックスもあって、ブログアクセスが1日20万(月間400万)を記録している。
なお、「引き寄せ」とは、自分が持っている思考や感情などの波動が、外側の同じような波動の事象を引き寄せるという考え方である。つまり、幸せまたは不幸な出来事も自分次第というわけだ。以前からある考え方だが、『ザ・シークレット』(2006年、シリーズ3作は全世界で2800万部突破)『引き寄せの法則 エイブラハムとの対話』(2007年、シリーズ累計40万部)といった書籍から、国内でも人気が加速した。
無料コンテンツで集客できるようになると、そこから書籍や関連グッズの物販、イベントなどに誘引することでマネタイズしている。前述の“HAPPYちゃん”はチケット代が3万~50万円のイベントで2000人を集客する。
他にも、“子宮委員長はる”氏は自身のブログの集大成である『子宮を整え、対話していくことで幸せになる』という約9万円のDVD(予約価格4万9000円)を予約だけで2000個もさばいた。
もはや、占い・スピリチュアル界のスターは、江原啓之氏や細木数子氏だけではないのだ。