近隣清掃で一番難しいのは、継続すること

心を込めた掃除を「半年」続ければ、売上は必ず回復する

私が経営をしていた時、店舗スタッフの基本的な仕事として力を入れていたのが周辺の清掃である。郊外店なら店の周囲200メートル分、市街地の店なら向こう3軒分の20~30メートル範囲のゴミを拾い、草取りなども徹底的に行う。これは、直営店もFC店も同じである。

ただし、必ずしも全店でそれができていたわけではない。店長やオーナーが率先垂範してやっているかどうかによって、差が出るのである。

近隣清掃で一番難しいのは、継続すること。365日行わなければ掃除をする意味がない。それは自分との闘いであり、生き方の問題であり、経営者としての姿勢の問題である。できない理由をよく聞かされたが、できるできないはその人の心の問題だということがよくわかった。

制服を着て毎日掃除をしていると、まず近所の方々が感謝の言葉をかけてくださるようになる。そのうち道行く人やお客様の目に留まり、アンケートはがきでお褒めいただくことが増えてきた。また、二次的な効果として店舗の売上が2~3%減ったくらいなら、掃除を徹底的にやれば半年、1年後には回復することもわかった。

掃除はお客様に気持ちよく過ごしていただくだけでなく、お客様から信頼され、売上不振の打開策にもなる。そのためにも、心を込めて続けることなのだ。

お客様には「喜んでいただく」のが当たり前

「いい店にしよう」と思うほど、問題は尽きることなく現れる

お客様からお褒めの言葉をいただくことは嬉しいことだ。ただし、いくら褒めていただいても、それで満足してはいけない。対価をいただいて商売を行い、儲けさせていただいているのだから、お客様に喜んでいただくのは当たり前、褒めていただくのは当たり前だと考えておくほうがいいだろう。

宗次徳二『独断 宗次流 商いの基本』(プレジデント社)

お客様に喜んでいただこうという気持ちで、こだわって商売をやり続けて、なんとか横ばいである。いくらやっても山あり谷ありで、よくなったり悪くなったりを繰り返す。だから、お客様に「この店で買ってよかった」「この店で食べてよかった」と思っていただくようにするのは最低限の仕事なのである。

そこをスタート地点にして、「今度また家族と一緒に来たい」「知り合いを連れてきたい」「口コミで紹介したい」という行動を実際に起こしていただくまで、必死で努力を続けなければならない。それができるようになると、自然と売上は右肩上がりになっていく。

いい店にしていこうと思うほど、問題は尽きることなく現れる。それを1つずつ改善していくことによって、少しずつ良い店になっていく。長年商売をしているだけでいい店になるということは、決してない。

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