「うちの子だけ勉強が足りない」と思い込む親

一方、勉強のやらせすぎも悪影響を及ぼす。緊急事態宣言中は、子供たちは友達とも会えず、受験勉強も各家庭に委ねられた。まわりの様子が分からない状況の中で勉強を進めていくと、「他の子はもっと勉強をしているに違いない」と思い込み、あれもこれもやらせてしまう親がいる。

子供が少しでもだらけていたら、学校が休みなのに勉強しないのが許せず、「こんなでは合格できないわよ!」ときつい言葉を投げ、何が何でも勉強をさせようとする。だが、たくさんの時間と量の勉強をすれば、成績が上がるというわけではない。机に向かってやっているふりをして、頭の中にまったく入っていないこともある。また、やらされる勉強は子供のやる気を奪う。

頑張っているのに成績が上がらない。コロナ禍の親の不安から大量の勉強をさせられてきた子供たちが、今もなお成績が上がらずに苦しんでいる。しかし、親はそれに気づかず、「できないのは勉強量が足りないからだ」と、さらに追い打ちをかける。塾から出された宿題は全部やるのが当たり前。9月からは過去問を解くのが常識。苦手対策もやらせなきゃと、さらに市販の問題集を買い集める。

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過去問対策を急ぐ必要はない

だが、私は常に言っているが、塾の宿題はすべてやる必要はない。すでに分かっているものはやらなくていいし、まったく分からないものは、今は手をつけなくていい。やるべきことは、あと少し頑張ればできそうな問題だ。そうやって、少しずつ得点力を高める学習をしていく。

過去問については、例年であれば9月から始めるのが理想だが、今年は夏休み中に総復習ができていない子もいるだろうし、そもそも学校の説明会の実施日程や入試要項が決まっていないこともあり、学校選びが遅れがちになっている。志望校が決まらなければ、過去問対策は進められない。今年に限っては10月半ばからのスタートになるだろう。急ぐ必要はない。