現役世代はセルフネグレクトに陥りやすい

特に現役世代はワーカホリックで、仕事に追われるあまり、セルフネグレクトに陥り、食生活がなおざりになり、孤独死するケースも多い。部屋も仕事上のモノで溢れ、衛生状態が悪いというケースが後を絶たない。塩田はその現状をつぶさに見てきた。

菅野久美子『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)

「在宅だけで完結するノマドワーカーやIT関係の方など、人と密に関わらなくても済んでしまう仕事をしている人も、実は孤独死を招きやすいのです。特に今は、パソコンやスマホで仕事が完結してしまう。亡くなった女性は、かなりの仕事人間で、日常生活は仕事に追われていた。しかし、喜怒哀楽をともにする友人や親族はほとんどなく、社会的に孤立していたのではないでしょうか」

遺族である母親は、すでに80代で認知症を患っており、女性も仕事以外の人間関係が全くなかったため、女性の遺品のほとんどはゴミとして処理された。

これが日々我々の社会で起こっている孤独死のリアルなのである。長年、孤独死の取材をしていると、その現場からは私たちの社会が抱える現状と大きな課題が浮き彫りになる。それは、声なき悲鳴として、特殊清掃人や私に訴えかけている。

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