12月1日から800m以上のトラック種目でナイキ含む「厚底使用禁止」

長距離&トラック競技の記録が向上するのは素晴らしいことだが、手放しで喜んではいられない状況になっている。なぜなら世界陸連は7月28日にシューズに関する規定の改定を発表した。トラック種目では、ナイキ厚底シューズの使用が規制されることになるからだ。

世界陸連はこの規制に先立ち、今年1月にもシューズの新規定(当時)を発表していた。靴底の厚さは「スパイク(ピン)なし40mm以内、スパイクあり30mm以内」で、ナイキ厚底の最新モデルであるエア ズーム アルファフライ ネクスト%(靴底39.5mm)はトラック種目でも使用OKのはずだった。

それが7月28日の新規則では、1月発表の内容を覆し、なぜか「800m以上のトラック種目及びクロスカントリーは、ソールの厚さが25㎜以下(スパイクの有無は問わない)」に改定したのだ。なお「レースで使用するシューズは4カ月前までに市販されていること」という規定は撤廃された。

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新規定は12月1日から適用で、11月30日までが「移行期間」となる。その間は新ルールを適用するかどうかは大会主催者の判断に任せられる。ただし、適用しない場合でも、規定外シューズを履いてレースに出場した選手は「Uncertified(非公認)」扱いになるという。

そのため、規定外シューズを履いて世界記録を上回るタイムを出した場合は、「世界記録としては認められないが、日本記録としては認められる」というややこしい状況になるようだ。

ナイキ厚底シューズでトラックを走る選手が日本だけ異常に多い理由

世界陸連の動きを受けて、日本陸連は8月15日付で「WA規則第143条(TR5:シューズ)のルール再改定について」をリリース。新たなレギュレーションが確定したが、早くもトラブルが起きている。

8月23日に新国立競技場で開催されたセイコー・ゴールデングランプリの女子1500m。田中希実(豊田自動織機TC)の使用予定だったシューズが「靴底25mm以内」ではないと判断され、コーチである父・健智さんがホテルに急いで戻り、規格に合ったスパイクをレース直前に届けているのだ。

田中はアクシデントを乗り越えて、14年ぶりの日本記録更新となる4分05秒27をマークした。ちなみに田中はナイキではなく、ニューバランスの契約選手。国内でのアナウンスが不十分だったこともあり、「25mm以内」の新規定を理解していなかったのかもしれない。

今回の新ルールで、今後しばらく日本の長距離界での混乱が起こる可能性がある。ここ1、2年は「25mm」を優に超える、主にナイキの厚底シューズでトラックを走る選手が急増しているからだ。これは世界的なものではなく、日本独自の流れになる。

というのも、世界的にはトラック種目はスパイクを履くのが当たり前で、昨秋のドーハ世界選手権でも5000mや1万mでナイキ厚底シューズを履いている選手は見ていない。