【20】「自分のポリシーをもたない」“信頼感ゼロ”の営業マン
キャンドゥの山田氏は、あるメーカーの営業マンから「人のやさしさ」を学んだという。あるとき、こう聞かれた。1人暮らしのお年寄りはなぜ雨の日も、風の日もスーパーに買い物にくるのか。それは会話をしにくるのだと。店の人から声をかけてもらうのが最大の幸せなのだと。そのために足を運んでもらえるスーパーはなんと恵まれた商売なのかと。
「そのポリシーと人生観に私は心から共鳴しました。ビジネスも最後は人と人です。人としての生き方まで学べたら、それは最高の営業マンです」
山田氏は以前、新人が入ると、取引先の営業担当に「この新人を一人前のバイヤーに育ててください」と“教育係”を頼んだという。担当者は自社の製造現場、競合スーパーの売り場……といろいろな場所に連れていき、仕込んでくれた。
もし、あなたが営業先のバイヤーの教育を託されたら何を教えるか。それは自身の生き方が問われる問いでもある。明確に答えることができれば、営業マン格差社会の真の頂点に立てるに違いない。
営業マン受難の時代は逆に自らを鍛え直す機会でもある。「買うのが苦しい時代がバイヤーを育てたのと同様に、売るのが苦しい時代が営業マンを育てる」と日本ムーグの小南氏もいう。今いるところから一歩踏み出すか、淘汰されるか。踏み出せば視野が広がり、勇気が湧く。バイヤーはその一歩を待っている。
1968年生まれ、92年入社。大阪本社大阪食品部水産課、インド、ボンベイ事務所駐在を経て現職。マグロを担当する。「水産の魅力は『何か美味しそう』と、最後は消費者の立場で判断する点です」
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キャンドゥ 商品部 プロジェクトリーダ●山田信一
1950年生まれ。スーパーの旧忠実屋などを経て、2007年入社、現職。30年間、バイヤー一筋。「昔は若気の至りで無茶なことをやってきました」
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日本ムーグ サプライヤー・デベロップメント マネージャー●小南 卓
1969年生まれ。大手重工業メーカーで、ディーゼルエンジンの営業、資材部門を経て、2008年入社。07年より購買マンの交流会である購買ネットワーク会の代表幹事。