宗教に学んだ百年企業の条件

コミュニケーションについても、様々な習慣をつくっています。オンラインの会議でも、まずはお互いの目を見て挨拶する。各会議の目的はスローガン化されているので、それを全員で唱和してからスタートする。会議中は画面にアジェンダを表示しながら進行し、終了したら即座に内容を議事録で共有する。この一連の流れが習慣化されています。

ちなみに、社内の会議はすべて定例です。何かあるたびに会議を設定し、出席者のスケジュールを調整する手間と時間が発生するのを防ぐためです。その代わり、会議の頻度を高くすることでコミュニケーションの密度を高めています。「毎日15分」「週3回30分ずつ」といった短い会議をこまめに行うのがGMOのスタイルです。

リモートワークの成否は、こうした習慣が組織に浸透しているかで決まります。世間ではどのチャットツールが便利かといった議論になりがちですが、ツールの問題ではないのです。

私は20代の頃から、「どうすれば100年単位で続く会社をつくれるか」を考え続けてきました。日本では創業から5年で約7割の会社が廃業し、10年続く会社は全体の6.3%程度、20年続く会社はわずか0.3%。

一方で、2000年前から続くものもある。それは宗教です。私はクリスチャンなので、長く続く理由を考えるうちに、宗教組織には5つの共通点があることに気づきました。定期的に同じ場所に集まること。聖書や聖歌など同じものを読み、歌うこと。クロスや数珠など、同じものを身につけること。十字を切るなどの同じポーズをすること。神話があること。こうした外形的要素があるから、人々の心が1つになり、宗教が長く続くのだろう。そう考えて、自分の会社にもこれらの要素をインプットしました。

先ほど紹介した「GMOイズム」はいわば弊社における聖典ですし、会議のスローガンを全員で読み上げたり、定例会議で頻繁に集まったりするのも、宗教の外形的要素に倣っています。

組織の習慣とコミュニケーションの貯金があれば、リモートワークは性善説で運用できます。もし自社のリモートワークがうまくいっていないなら、まずは良い習慣づくりから始めてはいかがでしょうか。

(構成=塚田有香 撮影=門間新弥)
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