羽目を外すサラリーマンもいなくなった
「IT関係です。今日は夜勤だったので」
大久保病院の横道を駅に急ぐ男性、やっとクールビズ姿のサラリーマンに会えた。コロナ禍の歌舞伎町で一番見かけなくなったのがスーツ姿のサラリーマンである。クールビズになっても以前に比べれば少なく、深夜に至ってはほとんどいない。かつては、仕事帰りはもちろん、終電、いや朝まで遊ぶサラリーマンで溢れていた。歌舞伎町は彼らの散財で持っていたようなものだ。もちろんお盆ということもあるが、それ以前からコロナの影響によるリモートワークや歌舞伎町のクラスターに端を発した、行き過ぎた風評被害などから羽目を外すサラリーマンの姿は消えた。
またサラリーマンとともに見かけなくなったのが外国人観光客、あからさまに団体で小旗の後ろをついていく姿、ドンキ詣でに自撮りする姿などは見る影もない。歌舞伎町のホテルにはこうしたインバウンドと東京五輪を見越して建てたホテルも多い。こちらなど夏休み、お盆だというのに観光客がほとんどいない。いま歌舞伎町には街の関係者を除けばごく一部のやんちゃな若者くらいしか来ない。遊興客と観光客頼みの大歓楽街で、これは絶望的だ。
職安通りを挟んだ大久保界隈は大盛況
夏休みの歌舞伎町はお盆休みに入っても絶望的な状況が続いている。場所によっては一見人出は戻っているように見えるが、肝心のお金を使ってくれる観光客はごくわずか、朝になるとパチンコ店の行列が旧コマ前を100mほど連なったが、同じ風評被害でもパチンコは強い、彼らは歌舞伎町だろうがなんだろうが出玉しだいだが、多くの人々はコロナクラスターのイメージが植え付けられた歌舞伎町を避け続けている。
一方、職安通りを挟んで大久保界隈は大盛況、時間によっては新大久保駅まで歩くのに難儀するほどの人混みだ。第4次韓流ブームの影響もあるのだろうがコロナ禍でも夏休み、客足は戻っているし、サムギョプサルが人気の韓国料理店の店長曰く「もう予約も断るくらいいっぱい」だそうで実際に店内ひっきりなしの満員御礼。通り一本だというのにこの差、よってたかって悪者にされ続けた「歌舞伎町」連呼による風評被害は甚大だ。
「歌舞伎町だけ悪者にして、お客さん来ない、ひどいね」
ネパール人青年がつぶやいたこの言葉——特定業種、地域をいけにえにしたパフォーマンスでごまかし続ける都庁の女帝はどう受け止めるのだろうか。