努力で解決するタイプは年齢が上がると厳しくなる
人の意見ばかり聞いて、誰でもできることに手を挙げてはいけない。そこでアピールする人は、99%の努力で解決するタイプの人だ。
そのタイプは、20代の若手なら戦略として正しい。
現場仕事が多くてインプットしている段階であれば、できることを増やしたほうがいい。
ただ、「そのうちどこかで上の立場になってやるぞ」というしたたかさを持っておくようにしよう。そうじゃないと、努力で解決するタイプは年齢が上がると厳しくなってくる。
いろいろなことが満遍なく無難にこなせる人は、たくさんの仕事を依頼され、仕事量が増える。
そして、いつか代わりが出てくる。
発信者になれるかどうかのポイントが、1つある。
「逆張りで考えられるかどうか」だ。
普通は、常識的で紋切り型の考え方ばかりしてしまう。
たとえば、就職活動の場合を考えてみよう。
資格を取ってアピールしたければ、「簿記や英検くらいは取っておこう」と考えてしまうし、出版社の面接を受けるときは、「紙の手触りは素晴らしいですね」と答えてしまう。
こういう人は、紋切り型の思考だ。
逆張りで考える人は違う。
「男ですが秘書検定1級を持っています」
「紙の時代は終わったと思います」
こういうことを言えるのが、逆張り思考の人だ。世の中は、本当にみんな同じことしか言わない。そんな中で、ちょっと違う視点からモノが言えれば、一気に抜きんでることができる。
もちろん、常に斜に構える必要はないのだが、一度、頭の中だけでも逆張りで考えてみることをクセにしておいたほうがいい。
できれば、「逆にこういうのはどうですかね」と、前置きした上で、口に出してみる。発言をしてみる。
その積み重ねで自分だけのポジションを確立していけるはずだ。
職業にとらわれないのがいい
ポジションの話を続けよう。
僕がシステムのエンジニアと経営者側の間に入るのは、結局、経営者側がシステムのことを知らないからだ。
システムの仕組みがわかる優秀な経営者であれば、別に僕がいなくても会話が成立するだろう。
しかし、なかなかそうもいかない。
現場から叩き上げた経営者であっても、時代の感覚がズレていたりして、下っ端とは会話が成立しないことも多い。
だから、翻訳する立場が必要になる。
とはいえ、ただの翻訳者なら、問題が解決したときにお役御免になってしまうので、全体を最適化する視点は持っておきたい。
僕とまったく同じポジションになるのは、ハッキリ言って難しいだろう。
経営者の本を読んだところで、同じビジネスで成功することはできない。
だが、姿勢は学べる。
できるだけ職業にとらわれないのがいい。職業になった瞬間に、人が殺到して競争が起こる。いろいろな役割が混ざって、「何をやっている人なんですか?」と言われるくらいがちょうどいい。
そのうち、ハイパーなんとかクリエイターだと名乗ればいいのだ。
エンジニア界隈の場合、ちゃんとシステム設計をしてコードも書けてIT系で決定権を持っている人は、日本にはそんなに多くない。
アメリカでは、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏がエンジニアとしても優秀だった。日本であれば、GREEの田中良和さんがプログラムを書ける。
「けんすう」こと古川健介も書けるし、ドワンゴを創った川上量生さんも書ける人だ。